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「アウトドア フィットネスクラブ」を海辺の古民家で

開業1年目で、会員数500人に迫る
「BEACH葉山アウトドアフィットネスクラブ」(神奈川県)
 昨年9月、御用邸やヨットハーバーで知られる神奈川県・葉山に、大正時代の古民家を改造したフィットネスクラブが登場した。海と山に囲まれた葉山の自然環境を活用しアウトドアスポーツとスタジオプログラムを提供する。開業一年を待たず500人近い会員を獲得した。アウトドアスポーツのフィットネスプログラム化や、フィットネスでの地域活性に注目が集まっている。


スタジオプログラムとアウトドアスポーツを提供
 相模湾に面した神奈川県・葉山の築80年の古民家が、昨年9月、「BEACH葉山アウトドアフィットネスクラブ」として生まれ変わった。100坪の敷地に建つ60坪の古民家を大々的に改造。1階をデッキ、スタジオ、ショップ、オーガニックメニューのカフェラウンジ、ロッカールーム、ロッククライミングのボルダリングジムで構成し、ロフト部分には、マッサージやボディチェック、メディカルチェックスペースを作った。季節の草木に囲まれた庭には、カヤックやマウンテンバイク、サーフボードといった色鮮やかな用具類が保管されている。
 提供するプログラムは、同所の自然環境を最大限に活用したアウトドアスポーツやヨガなどのスタジオプログラム。経営のアウトドアフィットネス㈱代表の黒野崇氏は、学生時代ライフセイビング部で人命救助や安全管理術を習得、卒業後は病院運営のフィットネス施設(42条施設)で予防医学としての運動指導に携わった。
 そこで「トレーニングは続けなければ意味がない。そのために“楽しさ”が必要」と確信した。プログラムは、多彩に、アウトリガーカヌー、ロングボードサーフィンなどのマリンスポーツ、林道を使ったノルディックウォーキング、マウンテンバイク、そしてヨガやストレッチなどスタジオプログラムも揃えた。「季節限定のレジャーのような特別な位置付けだったアウトドアスポーツをもっと身近なものにしたかった」と黒野氏は話す。 
 
 しかし、これらをフィットネスのプログラムとして提供するには、運動強度を整え、安全性の高いものにする必要があった。スタッフはみな各スポーツのスペシャリストであるとともに救急救命のライセンスを取得。スポーツドクターやアスレチックトレーナーが事前検査や、リハビリ・コンディショニングを行うサポート体制も完備した。
流入層と地域とのパイプ役に
 
 開業1年を待たず会員数は、450人を突破した。クチコミだけで拡がった。殆どが半径5km圏内の住民で、最近、葉山や逗子エリアに移り住んだ人が大半。
 入会目的は、「体質改善」、「やせたい」、「スポーツを楽しみたい」と様々で、殆どがアウトドア初心者。男女比は4:6と一般のフィットネス施設と同様だが、コアな年齢層は35歳~40歳と若い。
 平日は主婦層の利用が多く、週2~3回セルフコンディショニングなどのストレッチ系やヨガ系に加えカヌーやサーフィンをやっていく。人気のプログラムは、アウトリガーカヌー、ロングボードサーフィン、ノルディックウォーキング、アシュタンガヨガ。スタッフ15名と外部インストラクター10名が交代であたる。季節の自然条件に左右されるので、毎月プログラムを見直し、新メニューを投入する。
 
 一日の参加者数は約100人。月会費は15,000円、平日会員は9,000円。営業時間は朝6時からで、都心で働くビジネスマンの出勤前のニーズにも応える。マリンスポーツを気軽に出来る点が魅力。「サーフショップやカヌーショップに入るのはハードルが高いがここなら気軽に参加できる。移住者と地元との橋渡しの役目も担っているようだ」(黒野氏)。
 エコ活動にも積極的に取り組む。廃食油や雨水の活用。エコポイントで会員へ還元するシステムも導入している。カフェでの料理もオーガニックやローカルフード色を強化していく。事業展開については「葉山だけでなく、他の地方での展開も視野に入れている。
 海沿いのクラブやホテルなどへの運営協力やプログラム提供で役に立ちたい。その土地の魅力を活かしきれていない場所に、シンプルでもこうした施設を作ることで光をあてられる。フィットネスクラブが地域の活性に役立ち、コミュニティも育てることができます」(黒野氏)。

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