健康食品製造技術の最新動向
回復基調が鮮明となった健康食品市場にあって、健康食品受託製造企業の設備投資も活気を取り戻しつつある。受託製造でも2011年に新工場建設を予定する企業が増加。「製造設備の補強」や「品質・衛生面の補強」など、「攻め」と「守り」のバランスに配慮した投資活動が継続される見通しだ。
健康食品製造で活用される粉砕、抽出、濃縮、造粒、打錠、カプセル充填、包装関連機器の各メーカーでは、従来にも増して分解洗浄性やメンテナンス性を向上させたサニタリー仕様やGMP対応製品の開発を進めている。また、製造品目の多品種化に対応し、品目の切替えへのフレキシブルな対応を図った機種も登場。商品短寿命化への対応を踏まえ、短期間での量産に対応する高生産性へのニーズもここにきて高まっている。
食の安全・安心を担保していくうえで、各工程に最適な洗浄・殺菌技術を組み込むことは必須であり、O-157やノロウィルスといった食中毒対策やHACCP対策として製造ライン、手指、食材などの除菌・洗浄、さらに施設の雰囲気殺菌や害虫駆除、消臭目的として、種々のサニタリー技術が利用されている。
加えて近年では、ISO14000やEU発のRoHS指令といった環境規制に端を発し、食品分野においても人体や環境への配慮から脱塩素や化学物質を極力使わないケミカルフリー志向が叫ばれるようになってきている。安全性を確保するサニタリー技術自体にも、安全性に長けた技術を用いるべきとの見方が尊重され見直しが進んでいる。
昨年夏に生じたエコナ問題とその後のトクホ表示の消費庁への移管で、トクホ審査も一時滞り、そのうえトクホ制度見直しの議論の中で、トクホ申請のための試験依頼は数年前のような勢いはない。それに対し、規模は小さいながらも健康食品、機能性素材の有効性・安全性のエビデンス取得のための試験依頼は活発で数では着実に増えてきている。
食品・飲料業界では、商品の安心・安全を担保する取組みが、積極的に実施されてきたものの、組織作りや教育による対応の限界が顕在化している。一方、食品・飲料製造業(機能性素材も含む)に絞って言えば、原材料調達から完成品配送までの品質管理やトレーサビリティの実現等といった高度のリスク対策に止まらず、研究・開発情報の品質・レシピ情報を駆使した効果的でヒット率の高い商品開発をはじめ、生産効率化や歩留まり改善、在庫圧縮、輸送効率向上、ラインスタッフの人数・配置の最適化等々、競争力と付加価値を高めるための戦略・戦術的課題の数々が浮上。これら課題のツールとして、ITソリューション導入に踏み切る企業が増加している。
各種モニタリング機器は、食品工場でのラボ、製造工程などにおける品質管理を行う上で欠かすことのできないツールとなっている。今回は、① 微生物制御や品質保持のための3大モニタリング項目として、温度とともに重要なパラメータである水分活性とpH測定装置、② 食品における様々な劣化を促進する要因となる酸素濃度モニタリングおよびガス透過率モニタリング、③ 用水の安全衛生上の管理において、その指針となる塩素濃度を監視する残留塩素計、④ 安全性と品質の管理目的で利用が広がる糖度・濃度モニタリングのための屈折計を中心に濃度計など、プレゼンスが高まるモニタリング機器の利用動向と最新機器の開発動向を見ていく。
ATPふき取り検査手法は、04年夏改定された食品衛生検査指針(微生物編)に清浄度確認法として紹介され、普及が進んでいる。
近年は、かつて国内の食中毒事故のトップを占めたサルモネラや腸炎ビブリオによる事故は減少しているが、ノロウイルスはここにきて急増しており、O157も断続的に発生している。またカンピロやウェルシュによる事故もくすぶっており、食品業界は安全対策として微生物検査は気を抜けない。
生体の老化と疾病の原因が体内の活性酸素消去能と関わることが解明され、欧米では既にアンチオキシダントを訴求したサプリメントが一大市場を形成している。しかしわが国では抗酸化能の表示もままならず、抗酸化という括りでの機能性食品の市場形成が遅れていた。そのような中で、国内における抗酸化能の統一指標に向けてAOU研究会が設立され、抗酸化成分の評価法について検討を進めてきている。
食品産業にとって廃棄物処理、排水処理、排気処理、悪臭対策はもちろん、CO2削減対策等の環境対策は、CSR(企業の社会的責任)におけるイメージ戦略や循環型社会形成の観点からも避けて通れない課題だ。大手冷凍食品メーカーの工場では、ギョーザ類やハンバーグ類などの製造過程で発生する原材料残渣を敷地内で肥料に再生し、これを販売している。 また、大手菓子メーカーは、廃棄物のリサイクルにより最終処分量ゼロを継続中で、全社的な省エネ設備の導入や設備運転の効率化なども継続実施しており、CO2排出量も削減するなど、中長期的に見てもこうした取組みが拡大していくことは間違いない。
食品産業では近年、進歩した乾燥技術の活用により、食品の風味、色、食感を高める高付加価値・高品質化のほか、未利用食材の活用・商品化に取り組む企業・団体が増えている。若年齢人口の減少と高齢者の増大に伴う食品市場の「質的変化」に対応した食品開発が浮上しているからだ。乾燥技術による食品残渣や汚泥のリサイクルへの取組みも着実に拡大。生産・物流に関わる環境保全の取組みの中で、乾燥機それ自体の省エネ、CO2削減も見逃せないテーマだ。