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【インタビュー】セラミドの基礎研究と開発研究の融合をめざして

北海道大学名誉教授 先端生命科学研究院招聘客員教授

セラミド研究会会長 五十嵐靖之氏

長年にわたりセラミドや関連脂質の研究を推進され、2008年には自ら発起人となってセラミド研究会を設立するなど、セラミド食品の発展に尽力されてきた北海道名誉教授・セラミド研究会会長の五十嵐靖之氏に聞いた。

―― 機能性表示食品対応素材になったことで期待できることは

機能性食品素材の研究開発に要求されることは、その効用に対する科学的エビデンスが示されることが重要だと思います。その意味で今回、天然セラミドがうるおい肌などに対応する特保、または機能性表示食品の素材として認められたことは、二つの点で大きな意味を持ちます。一点目は、民間企業が様々な素材の開発に取り組む上で、開発目標がはっきりし、その推進力となれること。二点目は、大学など研究機関の基礎研究と連携することの意義、重要性がますます高まり、産学連携のさらなる発展の機運、必要性が高まることが期待されることにあります。

―― セラミド食品素材が持つ可能性や今後の展望は

セラミド素材の開発は、現在、うるおい肌など皮膚の健康、水分保持やバリアー機能の亢進などを中心に進められていますが、近年急速に発展しつつあるセラミドや糖脂質の生体における多様な機能やその分子作用機構が明らかにされ、それに基づく開発も視野に入るようになってきました。例えば、最近、日本人の研究(Nature Communication誌の 2 つの論文)によって明らかにされた極長鎖脂肪酸含有アシルセラミドの生成機構の解明は、皮膚のアトピー症や魚鱗癬などの重篤な皮膚疾患にも有効な薬品の開発にもつながりそうです。また、抗がん作用や、メタボリックシンンドローム、アルツハイマー症などの予防や抑制に関わる可能性も示されるなど、成人病や予防医学の分野で新たな展開も期待されています。今後その応用分野はさらに広がっていきそうです。

ウェブ上では一部を公開しています(1617号)。記事全文は紙面をご覧ください。

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