健産抄

【健産抄】<米国紀行> 第1回 専門スーパー店視察 -高級住宅街、隆盛のITビジネスが街を活性化-

サンフランシスコ、アナハイムを回る本紙視察団に加わり久しぶりの米国取材となった。

バスは空港から、サンフランシスコ湾を右手に見るように北上、1 時間程で、高級住宅街の一角にある店舗「スプラウトファーマーズマーケット」に到着。参加者の1人が駐車場を見て「高級車が多いな」と感想を言うほどである。

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スプラウトファーマーズ店内

さて「スプラウトfm」だが、高級住宅街を商圏に持つ店舗で、果物や野菜などを売りにした高級スーパーのイメージ。ベテランの添乗員のY氏の説明では2002年に設立され、15州に240店舗を展開するオーガニック・健康志向の量販店チェーン。2015年の売り上げで約36億ドル。一般の量販店は1,200坪で、売り上げは34万ドル/週がベンチマークだと。訪問店を含め店舗サイズはひと回り小さい7~800坪で、31.7万ドルだから効率はいい。とはいえ、日本の街中の量販店と比較すれば十分な広さがあり、この店もゴンドラが低めに調整され、広さを感じさせる。店内は入り口付近にカリフォルニアらしい見事なオレンジやイチゴなどの果物が山積みされ、来店客を迎える。

同店舗では、PBデリのウエイトが大きいと。ところで、店名にある「スプラウト」業界ではよく出てくる単語で、ブロッコリースプラウトはブロッコリーの新芽の事で、さぞかし機能性植物の種も多いのかと店内を見ていると、確かに、種の量り売りコーナーに沢山の瓶入りの種が並んでいた。「やはりね」と話していたが、アナハイムで合流の吉田さんと話したら「若造ですがよろしく」なんて使うんですよと説明を受けた。2002年の設立だからなるほどというよりヒヤリとした。同店の歩みは、WFMがワイルドオーツのチェーンを買収した時に、そこから分かれたのが始まりと聞いた。店名の由来も分かる気がする。

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WFMの生活用品、サプリコーナー

続いて、20分ほど先のホールフーズマーケットに。街は落ち着いた学園都市の雰囲気で、高級感もあり、大きな通りの角に、同店のイメージカラーの店舗が見えてきた。訪問した店舗は中型店舗で、入り口には色とりどりの切り花、苗などが山積みで、これが集客に役立つとか。入ると、野菜、果物が並ぶ。その片隅では、丸ごとのオレンジで、ジュースが搾れる機械も置かれて、ナチュラル色が溢れている。デリコーナーには、様々な調理済み食品が並ぶ。昼食時で、ツアーの一行も、ボール紙の箱を手に、豆、野菜、調理したポテトなどを入れ、コーヒーなども手にレジに。10ドルから12ドルで安くはないが、店舗の外の椅子で、街を眺めながらの食事に。若い学生もたくさん押しかけて、ランチを楽しんでいた。スタッフからショッピングバックのリクエストがあり、30ドルほどで購入したが、トレーダージョーズでは、似たようなものが3ドルほどで購入できた。売り上げは68万ドル/週で、通常の倍に迫る。

続いてバスは、老舗の自然食品店「グッドアース」へ。車内ではガイドさんが、サンフランシスコエリアについて「シリコンバレーも近く、I T ビジネスの隆盛なども手伝い、多くの技術者が世界から集まり、小売業も衣食住の各分野で活気がある。この街に住みたい人々に、グーグルやアップルなどの企業は通勤バス網を張り巡らし、職場と住環境のネットワーク化も進めている」との事。トランプを支えたラストベルト(錆び付いた工業地帯)とは無縁の、豊かな街が広がっている。

「グッドアース」はミルバレーとここの2店舗。店舗の入り口付近には、木の椅子やハンモックなど点在し、広々としたくつろぎの空間が広がる。説明に出てきたのが、日本人の平山さん。オーガニックやフードバンクなどに興味を持ち、日本からやってこられた。700坪ほどの店舗で、ここも1週の売上高が57万ドルとよく売れている。地元客に加え、海、山、公園に向かう客も多く立ち寄る。ここも棚の高さを低くし、店内が見通せるように工夫している。野菜や果物の他に、パンや水も多く並ぶ。日本製品もよく売れるとし、オーガニックやグルテンフリーなどの表示も。遺伝子組み換えの表示ができないので、オーガニック表示の商品を選択する人も多いと。ココナツウォーター、プロバイオ、抗酸化サプリなども注目されている。

本記事は「健康産業新聞 1641号」に掲載しています。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら

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