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アンチエイジング医師団本格始動へ

【話題の人】
北里大学名誉教授/NPOアンチエイジングネットワーク理事長 塩谷 信幸氏
 9月のダイエット&ビューティーフェアで「医療と美容の連携」についての基調講演の中で、塩谷氏は、その事例として“アンチエイジングパーク”構想を語った。そこに行けばいろいろな施術や療法が受けられる滞在型の美容健康増進の施設だ。「消費者の、美容や健康のニーズに応えるために、いまこそ医療、美容、健康が力を合わせるべきだ」という。


美容・健康産業の課題について?
 日本では、これまで、西洋医学と東洋医学、そして、エステティックやサプリメントなどの美容・健康サービスとも連携したり、融合することが下手でなかなか理想的なカタチを作れてこられませんでした。目指すところは皆同じはずなのに。私が長年携わっている抗加齢医学もある意味で統合医学ですが、やはり同じような課題を抱えてきました。
 ところがここに来て、正に「機運が変わった」と感じています。
 これは、抗加齢医学への医療従事者の関心の高まり、これまであり得なかった経済誌や一般紙等でのアンチエイジングの特集。アンチエイジングの名の下に連携を図ろうとする産業界の動き、そして何より正しいアンチエイジング情報を知ろうとする消費者の強いニーズからもうかがえます。
目指すところは何処に?
 
 昨年アーユルヴェーダに接する機会がありました。知ってみると、我々が四苦八苦してやろうとしていることは、4000年も前になされているではありませんか。
 
 これまで科学的なエビデンスが乏しいからと、医療とは別物に扱われてきた伝統療法や美容や健康の様々なサービス。しかし、実は、医療側でも、曖昧にしてきた領域があります。「自律神経が…」、「不定愁訴…」、「ストレス性の…」等々。
 
 いま、正にストレス社会と言われ、メンタルケアやリラクゼーションの重要性が叫ばれています。何がストレスで、何が予防可能なのか、何がリラクゼーションなのかを、もっと整理していく必要があると感じています。いまこそ、もっと人間そのものに近づいて、西洋医学だけでなく、いろいろな分野の知識や技術を駆使して、全体像を診るホリスティックな能力が必要になっていると思うのです。
 
 このことは100年も前に、フランスの外科医A・カレルが書いています。「パーツ(部分)としての病気というのは抽象化された医学の概念にすぎず、医療で医師が向かい合うのはパーツの集まりではなく“一人の人間”だけ。まずは、そこに立ち返れ」(「人間この未知なるもの」)と。
今年の活動について?
 
 昨年、医師たちで話し「アンチエイジング医師団」を結成しました。今年は様々な活動を本格的に開始する準備に取り掛かっています。間もなく発表の予定です。
 
 これは、我々医師の側から、メディアを始め各方面へ、正しくアンチエイジングや美容医療、そしてサプリメントについて情報を発信していこうという機構です。これまでとは逆に番組制作側にも提案をしていくことも考えています。そのことで、一面的だったり、センセーショナルだったり、誤った情報で、消費者が翻弄されたり不利益を被ることを少しでも無くしていこうと。昨年からその考えに賛同する医師たちで準備を進めているのです。現在はまだ少人数でのスタートですが、同じような思いの医師は大勢いると信じています。
 
 これはいわば、医療と消費者、医療とメディア、医療と他の美と健康業界といった交流の「架け橋」の役目を担うものです。例えば、美容、健康分野のビジネスで、医療との連携や融合を考えている方にも積極的に協力をしていくことが出来ます。
 
 このことで医療をもっと身近にしていくことのきっかけになると考えています。
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