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急速に拡大するストレス・ケア市場へ挑む

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医療機関母体の森林リゾート誕生

保健農園ホテルフフ山梨

 今年4月21日、富士を望む2万坪の広大な敷地に、保健農園ホテルフフ山梨がオープンした。運営母体は、精神科医療機関。ストレス社会の現代、企業のメンタルヘルスケア対策や予防の観点から心身のケアの場を提案する。


医療現場を知る専門家がスタッフに
 保健農園ホテルフフ山梨は、特長として6つのアプローチを掲げる。「睡眠リズム」、「運動」、「セラピー食」、「作業療法」、「リラクセーション」、「コミュニケーション」だ。日常に戻ってからも継続できるようなプログラムや食事レシピを提供する。
 運営母体の医療法人翠会ヘルスケアグループは東京、九州で4つの精神科病院を展開している。フフ山梨の構想は20年前から。長年の臨床経験から生体リズムを整える目的の施設の必要性を強く感じていた。「エネルギーをもらえる適度な運動や食事、そして空間。そこにメンタルヘルスケアのプロが係わっていく」。ドイツのクナイプ療法を目指した。フフ山梨のゼネラルマネージャーで㈱グリーンドック副社長の春日未歩子氏は「ストレス社会の中で少し元気をなくした方に利用していただき、健康的な日常生活への動機付けを持って帰っていただきたい」と話す。 バブル期に、※オーベルジュとして建てられたぶどう畑の中の休眠施設を、現代人のためのヘルスリゾートホテルとして生き返らせた。客室は13。広大な敷地内には、風呂、つみたて農園、動物小屋、薬草ガーデン、森林セラピーロード等が点在している。
 従業員は全部で8名。医療や企業カウンセリングの現場を知る精神保健福祉士を中心に、産業カウンセラー、森林セラピストの資格を有するスタッフ等で構成する。プログラムや食事メニューの構築には、グループ病院から作業療法士や管理栄養士が加わった。
 「人は自己肯定感が低下すると、身体のいろいろなところに悪い影響が出てくる。倒れてからではなく、今残業で一生懸命頑張っているハイパフォーマーにこそ、普段からメンテナンスをして欲しい」(春日氏)。
心身のバランスと整えるプログラム
 11月のプレオープンから現在(5月末時点)まで、日帰り客も含め延べ400人ほどが来館している。30~40歳代の有職者女性が多いが、介護疲れの60代以上や、休職中の若い世代もいる。ネット検索して心身のケア目的で来る人や「農園ホテル」の言葉に惹かれて来る。一人客や、二人客、中にはファミリーで来る。利用は、日帰り、1泊、2泊プラン、そして長期滞在と多様。現在、グランドオープン価格で、2泊3日(5食、プログラム付)で平日37,600円など。心身のバランスを調えるプログラムとして朝ヨガ、呼吸法&自律訓練法、星座鑑賞、ファイヤープレイス、森林セラピー、農業体験、発酵料理体験、アート療法、座禅、アロマトリートメント、身体バランス、カイロプラクティックや個別カウンセリングを提供している。
 食事は、地元の農家とタイアップして地産の有機野菜中心のメニュー。帰宅後も作れるレシピだ。
 今後の展開については、シニアの健康が気になる層向けの平日プランや、企業戦士向けに心身のリズムを整えに来てもらうプランも考えている。仕事持参でも参加できる。まず、平日稼動を上げて、1日平均20人の集客を目指している。「まだ宣伝が足らないが、旅の雑誌で普通の宿泊ホテルと競っても仕方ない。じっくりと告知をしていきたい」(春日氏)。
 施設の運営に関わりたいという地元の人がスタッフとして加わってきている。農家やアロマトリートメント、カイロプラクティックの施術者など。
 来館者は、自然環境の中で、朝ヨガや、農作業などのプログラムに自分のペースで参加する。無理強いはしない。参加者同士のコミュニケーションも自由意志で。スタッフが個々の参加目的や意向を尊重し、適度な接客や雰囲気作りをしていく。春日氏は、施設の最大の特長は「スタッフが絶妙な距離感をもってお客様に関わっていく。他のどんなホテルも真似できないサービス」だと言う。

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