行政・業界動向

「ウエルネス」がビジネスの付加価値に

GWS2017開催レポート(日本未病システム学会スパ研究家 丸山智規)

43 か国600 名の業界リーダーが集結

去る10 月9 ~ 11 日、今年で第11 回目を迎えるグローバル・ウェルネス・サミット(GWS)が、マイアミの超豪華リゾート「The Breakers Palm Beach」にて開催され、従前を大きく上回る600 名以上の業界リーダーが43 か国から集結。
「Living a Well Life」をテーマに、スパ等の特定業界の枠を大きく超えた視野の広い英知の交流が繰り広げられた。同ホテルのプールサイドにて催された前夜祭では多くのサミット招待客が集まり、旧交を温め合った。日本からは、以前にも参加された森トラストの伊達美和子社長ほか数名が招待され、華やかな宴となった。先ず、サミット初日に発表されたのは「Wellness Moonshot」。世界では毎年約7 割の人が“予防可能な病気”(生活習慣病等)が原因で死に至っており、2030年までには関連医療費が47 兆ドルにも達するという事実を再認識し、同サミットが持つ様々なリソース(専門知識、業界チャネル、ファンド等)を結集して世界を予防可能な病気から救おうというという新たな取り組みである。 続いて、恒例となったSRI(スタンフォード国際研究所)出身のGWS 専属研究者達によるグローバルリサーチの発表。今回の注目トピックは、なんと「不動産」。今や各国ではウェルネスなライフスタイルを提供する健康志向の都市・住宅開発が続々と進み、その市場規模は、控え目にみても既に190 億ドル(12 兆円以上)に達している。一般的な都市・住宅開発よりも不動産価値が10 ~ 25%も上がることから、この様な街づくりがこれからのトレンドとなっていく。

最先端分野では、今回Life Nomeという米国のDNA 解析会社の研究発表が興味深かった。3 年以内に、個人の様々な体質情報(腸内フローラ等の体内微生物等)や、ウェアラブル端末から得られる日々の生活における健康状態、生活習慣等に関する情報をAI や機械学習技術を活用することで、実用的なパーソナルウェルネス用製品やサービスが開発可能になるとのこと。特にスパ・ウェルネス産業に関連する分野では、顧客の遺伝子データを解析して、個人の体質に合った最適なサプリやダイエット方法、スキンケア、コスメ、香水等を数多ある世の中の商品の中から選んでくれるようなサービスが提供される。想像もつかない未来がすぐそこまで来ているのだ。
一方、本会の名称がグローバル・スパ・サミットだった11 年前、最も注目を浴びていたのが、スパの有無によるホテルの平均宿泊単価の違いを示したSTR 社の調査結果だった。今回久々に同社のスパ調査が発表され話題を呼んだ。これによれば、有名ホテルグループの殆どが、スパを中心としたウェルネス・ソリューションをブランド戦略として提供しているとのこと。スパの有る有名ホテルの一泊の平均宿泊単価は、2006 年には$219 だったが、2017 年現在は$329 にまで成長。因みに、スパの無いホテルの平均宿泊費は現在$250 に留まっており、スパの有無によってホテルのブランド価値に大差がついているのが分かる。今後もホテルグループ各社におけるスパ・ウェルネス戦略から目が離せない。

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