行政・業界動向

地域発を「強み」に変えてJ-beautyの中で存在感を!(第4回ジャパンメイドビューティ研究会)①

9月10日ジャパンメイドビューティアワードの授賞式の後、第4回ジャパンメイドビューティ研究会が開催された。コーディネーターには、㈱アイスタイル取締役の山田メユミ氏が、パネラーには、過去のアワード受賞者から㈱クレコス代表取締役社長暮部達夫氏、(有)エール代表取締役倉本哲氏が登壇した。ジャパンメイドビューティ研究会は、地域発の美容商材を展開する企業が課題とチャンスを共有する場として2か月ごとに開催している。

㈱アイスタイル 取締役 山田 メユミ氏

山田 実際に地域発コスメをプロデュースしていらっしゃる方の現場の声を伺いたいと思っております。
倉本 今回、鹿児島から地域資源の「オクラ」を活用した取り組みということで、「オクラパウダー」でインナービューティ部門の優秀賞をいただきました。実は昨年はオクラの化粧品で優秀賞をいただきまして、2 年連続オクラで参加しました。
暮部 奈良で大和茶を使ったコスメを中心に展開しております。第2 回のアワードで「クオン」というブランドでは、最優秀賞をいただきました。その他に別会社で、優秀賞をいただいた北海道の「NALUQ」等、全国のコスメをオーガニックコスメとしてプロデュースさせていただいています。
山田 まず倉本さん。オクラのプロジェクトを始められたきっかけは?
倉本 もともと電子部品の会社をしています。オクラは流通時に緑色の網に入って売られていますが、県からそのネット作りを依頼されました。オクラの生産量は鹿児島県が日本一でそのシェアは約4割。その約8 割が地元の指宿市産なのです。つまりそれだけ出荷量があると、規格外品も多いということです。曲がったり、傷がついたりするものもあるので何か有効活用したいと。オクラの種子は、実際畑では活用されずに焼却処分されるのです。「オクラ」「種子」「エキス」と調べていくと、フランスから輸入されている化粧品の原料の情報を見つけて、鹿児島県産のオクラでもできるのではないかと考え、取り組んでいったのです。

山田 暮部さんはどういう経緯で地域のプロジェクトに参加して行くのでしょう?
暮部 多くは地域の行政や農協、農家の団体など、そこで暮らす方々からの、その地域の産物で何かをしたいという依頼がきっかけです。これまでは地域の特産品と言うと、食品が多かったのですが、それも一巡して、次は化粧品と考えられる地域の方が多いようです。地域にはそれぞれの目標がある。
山田 地域ごとに全然違うストーリー性を持ったブランドを立ち上げて行くことはとても難しいことだと思うのですけれども、どのようなスキームで?
暮部 例えば農産物をひとつ持ってこられて、これで何かを作りたいというご依頼が多くて、そうなると原料開発からとか、何の商品を作りましょう?どこに売りたいのですか?どうしたいのですか?というやりとりからのスタートです。我々の自社ブランドをやってきた経験から、そのノウハウをできるだけお伝えして、その地域で自立というか、持続性のある形で発展できるサポートを目指していきます。中には、自分達でどんどん売って行く方もいらっしゃいますけれど、初めて化粧品をやるという方々は、どう売るかまでサポートすることが多いです。
山田 オクラもそうですが、地域の魅力的な素材をどう加工して、プロデュースして、製品化して届けて、コミュニケーションするかというところが、大きな分かれ目になっていくと思うのです。成功事例に共通するものを感じていらっしゃいますか。
暮部 その成功という部分では、何を持って成功とするのかというところがあって。お金を稼げればそれが成功なのか、どれほど稼げれば成功なのか、といういわばゴールというか、地域や人々のゴールを共有化して、そして可視化していくことがすごく大事に思っています。地域が目指す姿はいろいろあります。例えば、愛媛の明浜町の「yaetoco」は、明浜町という町を全国に知ってもらいたいというのが彼らの一番の目的でした。知っていただき興味を持っていただいて、来ていただきたいと。もう一つ、北海道の「NALUQ」というブランドは、北海道の下川町ってものすごく北にあって、最低気温がマイナス34℃とか北欧に近いような寒さですが、ものすごく景色の良いステキな町です。彼らは林業で暮らしているのですが、トドマツという松の精油を採って、その精油でブランディングしたいと言う。色々話していくうちに、彼らは、自分達が森で暮らすライフスタイルを、全国の方に知っていただきたいのだと分かってきました。だから基礎化粧品のシリーズではなくて、彼らのライフスタイルに寄り添うアイテムということで、アロマキャンドル、ファブリックウォーター、バームのシリーズで展開しました。
各々の地域によって、何を伝えるために化粧品を作りたいのか、どのような物を誰に伝えたいのかは絶対に異なっています。そのゴールをきちんと彼らと一緒に創って、それを可視化し共有化していくことだと感じています。

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