行政・業界

地域発を「強み」に変えてJ-beautyの中で存在感を!(第4回ジャパンメイドビューティ研究会)②

9月10日ジャパンメイドビューティアワードの授賞式の後、第4回ジャパンメイドビューティ研究会が開催された。コーディネーターには、㈱アイスタイル取締役の山田メユミ氏が、パネラーには、過去のアワード受賞者から㈱クレコス代表取締役社長暮部達夫氏、(有)エール代表取締役倉本哲氏が登壇した。ジャパンメイドビューティ研究会は、地域発の美容商材を展開する企業が課題とチャンスを共有する場として2か月ごとに開催している。

㈱クレコス 代表取締役社長 暮部 達夫氏

地域全体で取り組んでこそ動き始める

山田 失敗事例に見られる要素とか、陥りやすい点はいかがでしょうか?

暮部 補助事業でやっている地域の中に見受けられるのですが、補助ありきで商品を作ると、その補助金が終わると取り敢えず事業が終わってしまうことも多いですし、まずメインプレイヤーが誰なのかわからないケースが多い。色々な船頭がいて、様々と口を挟んでくるので、誰の言う事を聞いてどう進めるべきかというのが、見えてこない。あとありがちなのは、仕事が大変で化粧品を売るための時間が取れないと言う。作ったのだから、売る時間を作りましょうよと言いたい場面はよくあります。
山田 原材料販売などの少し別の視点も持つべきだということを伺ったのですが。
暮部 いきなり化粧品を出して初年度からすごく利益が出るまで売れるということはあまりないです。何年かかけて、じっくりと育てていかなければなりません。であれば、その思い入れのある素材を、原材料として同じように流通すればいい。自分達のPB を広めるのは大前提ですが、それを補完する形で、原料も出していけばよいでしょう。
山田 倉本さんはオクラプロジェクトを立ち上げて4 年目ということです。今後どういったことを目標にお考えですか?
倉本 当初、正直、オクラは何となく体に良いイメージがあっても、具体的に何に良いのか、我々も農家も行政もよくわからない状態でした。オクラパウダーを単なる緑の粉ではなくて、ほうれん草やブロッコリーとどう違うのか、そこを突き詰めないと素材として出していけない。そこで行政や大学と連携を組みました。指宿の目標は、地域資源であるオクラがブランド化されて、少しでも値が上がっていくことです。年間、指宿で4 千トンくらい出荷されていますので、ザックリ計算しても4億本。1 本1 円でも上がると、それは大きな経済効果が得られる。そして、地域が活性化して、またオクラパウダーを原料とした特産品の開発が進む。観光に来られる方がそれを喜んで買って帰る。最終的には指宿全体が活性化できればと考えています。
山田 地域には素晴らしい素材が、たくさんあります。審査員の皆さんのコメントにもありましたが、良いのはわかるのだけれど、その先の消費者側の、使用者側の思いにまで目を向けていないのではないかという指摘に関して、どのように感じていらっしゃいますか?
倉本 プロダクトアウトになりがちですが、やはりマーケット・インで、市場の皆さんが何を欲しがっているのか。今の国内市場が、何を求めているのかというところと結び付けて行かなければと思います。
山田 IPM 農法(総合的病害虫管理)でしたか?農薬を低減するためてんとう虫を使って、あぶら虫を取らせているのですね。てんとう虫がオクラを育てていると。まだまだ掘り下げられるストーリーがありそうですね。
倉本 地域資源というのは、地域全体が一緒に取り組んで、それが行政であり、各関係機関であったり、地元の農家であったり、全員が絡むことによって発展するのだと思います。その意味で、今回プロジェクトと名前を付けて取り組みました。行政を巻き込んで一緒にやりましょうと声をかけたのです。

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