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体験型コンテンツで 訪日外国人にアプローチ

観光庁 観光地域振興部 観光資源課 新コンテンツ開発推進室 課長補佐 小林 誠 氏

観光庁の新コンテンツ開発推進室では、昨年度から地域の新たな体験コンテンツの一つとして、健康・美容に取り組んでいる。昨年9 月のダイエット&ビューティーフェアでは2018 年度の美容施設や温泉に向けた取り組みについて講演。改めて日本の観光資源としての美容・健康分野の取り組みについて話を聞いた。

拡大する世界の美容・健康市場

世界的に健康や美容を取り扱うウエルネス市場は拡大を続けており、観光分野でも旅先でウエルネスを意識した体験を望む旅行者が増えています。美容やアンチエイジングの市場規模は2013 年から2017 年の間に約573 億ドル成長。いわゆるウエルネスツーリズム、健康や美といった体験を含んだ旅も拡大して、予測として2022 年まで年平均7.5%で成長を続けていくと見られています。また温泉や温浴施設の設置数は、世界の中でもずば抜けて多く、こうしたデータからも日本には美容や癒やしを観光資源として訴求できるポテンシャルがあるといえます。一方で、国内の美容関連事業の成長は停滞気味で、今後の市場維持や拡大に向けてインバウンドへ注目が集まっています。日本の高い美容技術や世界一位の数を誇る温泉等を、海外からの観光客向けのコンテンツとして、更に魅力的に磨き上げていく必要があると考えています。

日本文化に触れるウエルネス

2018 年度には「リラクゼーションサービス業」向けの多言語コミュニケーションツール活用や温泉の効能や素材を活用した美容体験サービスの提供など、美容に近い分野を取り上げましたが、2019年度には内面的な癒しやウエルネスにチャレンジしています。
例えば、今年度の取組として2 つの地域(佐世保、乗鞍高原)で事業を実施しています。長崎の佐世保では、眼前に海や周辺の島々が広がる棚田があります。そこで地元の方々が地域食材で作ったランチや、甲冑を着たり、居合い斬りをしたりと日本の生活や文化に触れ
る体験を提供しています。あえて、明確なスケジュールを決めずに、思い思いにゆったりとした時間を過ごしてもらうコンテンツになっています。
長野の乗鞍高原では、自然を五感で感じる癒し体験を造成しています。薪集め、キノコ・山菜狩りをしながらの森林ウォーク、大自然の中での食事、焚き火のゆらぎなど複数のコンテンツを上手に活かしたデトックスを提供します。

体験型コンテンツを強化

次年度以降は、昨年までの取り組みで得られた知見や反省を踏まえ、他の地域や他のコンテンツに横展開で広げたいと考えています。
例えば、VR 等の最先端ICT を活用した観光や、地域のお祭りに参加してもらう取り組みがあります。VR などの技術は観光分野においてもポテンシャルが高く、体験いただいた皆様からも評価が高いため、今後も様々な活用の仕方があると考えています。
また、ナイトタイム“夜の観光” は今後ますます成長が期待できると思いますので、引き続き力を入れていきたいです。今年はオリンピックやパラリンピックもあります。アクティビティなどの体験できるコンテンツも増えてきていますので、次年度の事業でもそこにフォーカスを当て、多くの訪日外国人旅行者に日本を楽しんでもらえればと考えています。

こばやし まこと
2009年 環境省入省。本省生物多様性地球戦略企画室に配属された後、地方環境事務所にて国立公園の現場管理等に従事。その後、内閣官房行政改革推進本部事務局、環境省国立公園課、ANAの官民交流派遣において温泉地の地域活性化等に従事したのち、2019年4月より現職。

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