このハロウィーン、主役はやはりお菓子
ハーシー社は今年初め、不注意にも消費者に不安を与えてしまったようです。
同社の2022年第2四半期の決算発表で、サプライチェーンの混乱によるハロウィーン用のお菓子の不足が予想されることに触れたのです。
力強い成長にもかかわらず、生産能力の制約により、(ハロウィーン用の菓子などの)消費者の需要に完全に応えることは厳しいでしょう。 Michele Buck ハーシーCEO(2022年7月)
その後、この状況を嘆くSNSの投稿が相次ぎました。その数日後、同社は消費者に「お菓子はあり余るほどある」と断言しました。さて、ハーシーズはハロウィーンを救うために十分な行動をとったのでしょうか? そして、お菓子業界は何を学んだのでしょうか?
ハロウィーン商戦、消費者はお菓子が最優先
ハーシー社のハロウィーン対策に関する発表から、ハロウィーンとハーシー社に関する重要な事実がいくつか明らかになりました。パンデミックで様々な制約を経験した消費者たちは、2022年のハロウィーンを迎えることに不安を感じています。2022年3月時点で、クリスマス以外のホリデーシーズンを祝う米国の消費者の4分の3以上がハロウィーンホリデーを祝うことを楽しみにしており、半数以上がそのような祝い事は自分にとって重要であると回答しています。
米国にとって、ハロウィーンは冬以外のホリデーの中で最もお菓子をたくさん購入する時期であり、不安を煽ってしまったハーシーの失態は消費者の買い占めを促進する可能性があります。最初の発表から数日のうちに、多くのメディアやSNSが、ハロウィーンのお菓子を大量に購入できる場所を提案し、ハーシー社製以外の商品も幅広く入手可能であることを指摘しました。
購入動機はブランドロイヤルティではない
ハロウィーンのお菓子の買い置きがあわただしくなり、多くのメーカーからハロウィーンのお菓子が発売されるようになると、ブランドロイヤルティの重要性がクローズアップされます。どうやらハーシーは、お菓子の購入への最も大きな動機はブランドロイヤルティだと思い込んでしまったようです。ハーシーの競合会社の一つであるマーズは、この失態に利用し、ハーシーが供給不足の可能性を発表した翌日に、2022年のハロウィーンSKU(Stock keeping Unit)を発表したのです。
お菓子購入の決め手は「ブランド」よりも「味」。飴菓子では、「慣れ親しんだ味」が「有名ブランド」を11ポイント上回り、購入要因のトップになっています。チョコレート菓子では、「慣れ親しんだ味」が「有名なブランド」を2ポイント上回りました。
Consumers are anxious to celebrate even more
パンデミックを乗り越え、消費者は再びあらゆるホリデーシーズンをお祝いすることを待ち望んでいます。ウイルスの亜種が残っているとはいえ、今こそ「以前」に戻り、祝い損ねた行事を復活させる時だと多くの人が考えています。2022年、冬以外のホリデー(ハロウィーンを除く)の予想支出総額は、2021年比5.5%増の1100億ドルに達しました。ハロウィーンの売上がその数字を大きく押し上げると予想されていました。また、ハーシーは消費者よりもハロウィーンの準備が遅れているかもしれません。2022年8月現在、ハロウィーンをテーマにしたソーシャルメディアへの投稿や、2022年のハロウィーンをテーマにした商品にまつわるニュースには、同ブランドが目立って登場していませんでした。
ハーシーのInstagramページには、この8ヶ月間でたった1枚のハロウィーングラフィックしか掲載されていません。
Mintelの想い
ハーシー社の発表に対する反応から、お祝い事がいかに待ち望まれていたかが見て取れます。パンデミックの最中、お菓子を配ることを自粛していた米国の消費者も、お菓子を中心に据えたハロウィーンの伝統を守りました。パンデミックが緩和されつつある現在、お祭りごとや、ホリデーのお祝いをあきらめる気はさらさらないようです。ブランドは、消費者の需要を予測し、それを活用することが賢明でしょう。