連載

自宅のお風呂がサウナになる“サウナ傘”

地域の美と健康が動き出した【第56回】(東京都)

ビニール傘を逆にしたようなサウナ傘。2018年に販売が開始され、すでに100以上のメディアに取り上げられ「見たことある」という方も多いかもしれない。この傘を商品化した㈱ギークルジャパンは雨具を中心とした卸売りを営む事業者である。

商品化のきっかけとなったのは蠅帳(はいちょう)。久しぶりに見た蠅帳を何かに応用できないか?お風呂の上に乗せて使ったら、簡単なサウナが出来るかも・・・というアイデアを具現化したという。使い方はシンプル。サウナ傘をバスタブの上に被せるだけで、自宅のお風呂が手軽にサウナになる。とくに東北や北海道などの冬の時期の寒さが厳しい地域の需要が高いという。お客様の声を聞いてみると本来のサウナとしての使い方はもちろん、バスタブに使ったときに肩から上が冷えてしまうことへのニーズもあるという。

 

もともとネット販売を中心とした卸売業者であるため、自社の持つEコマース、通販を中心に販売を開始。そのユニークさが徐々に認められTV番組やSNSで取り上げられる頻度が増えてくるが、大きな転機はコロナとサウナー女子の人口の増加である。

コロナで外出が制限されるなか、自宅にいながらサウナの雰囲気を気軽に楽しめることが多くのメディアから注目されはじめる。ここに著名なサウナー芸能人のSNS投稿もトリガーとなり爆発的に売り上げが向上する。

「汗がじわっと出て気持ち良い」「毛穴の汚れも溶け出し、汗とともに出てきます」「マスク荒れに効果がありそう」などSNS上で口コミが投稿され、Eコマースを中心とした販売体系が融合し売上げの拡大に結び付いている。

まさに、時代の流れの寵児のように感じられるが、Eコマースに黎明期から苦労し取組んできた販路の構築が基礎になっていることは大きなポイントである。同社ではお客様の声を取り込んでさらに商品をブラッシュアップしていくという。今後が楽しみである。

中小機構本部 中小企業アドバイザー(経営支援)

石坂 尚

家電メーカーで商品企画、プロダクトマーケティング等に従事。退職後は新規事業創出の支援等を行うかたわら、専門学校でアントレプレナー輩出を支援する。

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