連載

エイジングケアワインの「糖化ケア作用」を新たな健康習慣に

地域の美と健康が動き出した【第86回】(京都府)

老化を促進させる原因物質としてAGEs(糖化最終生成物)が注目されています。AGEsは、身体を構成するタンパク質に余分な糖が結びつく「糖化」の化学反応が進行した最終段階で生成される物質です。種類が多いAGEsの一般的特徴は、分解されにくく、体内に蓄積されることです。これまでの研究により、AGEsの生成と蓄積によって、認知症、脳卒中、動脈硬化、骨粗しょう症、白内障、皮膚のシミ・シワ・たるみなどが起こりやすくなり、AGEsが加齢に関連する病気の原因物質の一つであるとされています。また、AGEsが酸化ストレスを作りだし、それが糖化をさらに促進するという悪循環も判ってきました。

AGEsの蓄積を抑えるには、糖質を多くとらない、適度な運動、ストレスをためない、禁煙などが有効とされていますが、近年の研究で種々のポリフェノールに糖化ケア作用があることが判ってきました。(株)モトックスと同志社女子大学薬学部 杉浦伸一教授は、ポリフェノールを多く含むワインが体内へのAGEsの蓄積を抑制する効果を調べる共同研究を行いました。

その基礎研究では、既存の糖化反応阻害剤のアミノグアニジンよりも強い糖化ケア作用を持つワインがあること、糖化ケア作用はワイン毎に大きく異なることが判りました。また、臨床研究では1日にグラス1杯のワインの飲用が体内のAGEsを減少させる傾向がみられました。

この研究をベースに、同社と杉浦教授が昨年12月に中小機構のインキュベーション施設D-eggに「エイジングケアワイン研究所」を共同設立しました。同研究所では、ワインの糖化ケア作用の研究や情報発信を行うと共に、消費者が糖化ケア作用に着目したワイン選びができるよう、希望する各社のワインを対象に定量的基準に従った評価サービスを行っています。この評価により、強い糖化ケア作用を有するワインが「エイジングケアワイン」と認定され、認定シールが貼付されます。

これらの活動を通じてワインの糖化ケア作用によるエイジングケアへの期待が高まっています。

エイジングケアワイン特設サイト:https://www.agingcarewine.jp/

 

中小機構 近畿本部   十河 太治  (D-egg チーフインキュベーションマネージャ―)

大学発スタートアップや産学連携で新規事業に取組まれる方々を支援しています。

 

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