DIET&BEAUTY

　栄養不足や運動不足、睡眠不足、ストレスなど、現代人が抱える数々の悩み解決を サポートする「温活」「腸活」「眠活」「骨活」「筋活」に関心が高まっている。機能性 表示食品の登録件数からも“5 活”ニーズの高さが伺える。

“睡眠”訴求の機能性食品急増

昨年、東京都が実施した健康食品に 関する意識調査によると、都民の 4 割が 健康食品を利用し、そのうちの 6 割が毎 日摂取しているというデータがある。いま や食事と同じようにライフスタイルの一部 として健康食品を採り入れる人も珍しくな い。また、特保や機能性表示食品制度 も徐々に浸透し、商品を購入する際の基 準とする消費者も増えている。 　2015 年にスタートした機能性表示食 品制度は登録件数が 現在 8,300 件を突 破した（5 月 10 日現在）。中でも、女性 の健康なライフスタイルの基礎となる “5 活” に関する機能性の登録が増加して いる、腸内環境の改善をヘルスクレーム とする機能性表示食品の届出は 533 件、 睡眠の改善では 748 件、冷えの改善で 184 件、骨の健康で 379 件、筋肉の維 持で 169 件に上る。特に “睡眠” では、 この 1 年だけで新たに 174 件の機能性 表示が受理されている。

富士経済の調べによると2023 年の機能性表示食品の国内市場は 7,350 億円 で昨年比 27.7% 増加しており、中でも“睡 眠” 訴求の市場規模は前年比 42.9% 増 と大きく伸長し、市場全体をけん引して いるという。特に『Yakult1000』や『届 く強さの乳酸菌 W』、『メンタルサポート ココカラケア』のように、乳酸菌を関与 成分とする商品の人気が高く、23 年度 の 市 場 規 模 は 1,601 億 円 で 前 年 比 57.3％、24 年は 1,820 億円とさらに拡大 を続けると予測する。

“5 活”食品素材や OEM 提案に期待

注目を集めているのは「睡眠」訴求だけではない。5 活の中でもっとも消費者に馴染みの深い「腸活」では、腸の善玉菌そのものを摂取するプロバイオティク ス、善玉菌のエサとなるものを摂取する プレバイオティクス、その 2 つを組み合 わせたシンバイオティクスに加え、近年、 食品成分を材料に腸内細菌がつくり出す 健康に有用な代謝産物や死菌体を指す 「ポストバイオティクス」の研究が進む。 代表的なものに有機酸の一種で、腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖をエサにして 生み出す「短鎖脂肪酸」や、乳酸菌、 ビフィズス菌などを加熱殺菌処理によって加工した「殺菌乳酸菌」が挙げられ、 エビデンスが蓄積されてきたことで、市 場への広がりを見せはじめている。

また「温活」では、中医学の考えに 基づく漢方・薬膳料理を提供するレスト ランが増加。自ら調理をするために薬膳 料理を学ぶ人も増えているという。中華 料理のイメージが強いが、最近では、ナ ツメ、サンショウ、カミツレ、ハトムギ、 スギナなど、代表的な薬膳の素材を用い て、和食やイタリアン、フレンチ、さらに カレーなどとも組み合わせた新メニューを 提供する店舗も出てきている。

「筋活」では、タンパク質を効率的に 摂取できるプロテインが引き続き人気だ。 女性をターゲットにした美味しく飲みやす いプロテインが続々登場。多彩なフレー バーで、飽きさせず、習慣化を促す。ス ナックやアイスといった嗜好食品への採用 も増えているようだ。

「骨活」では、骨に欠かせない主な栄 養素として、カルシウム、ビタミン D、ビ タミン K が挙げられるが、昨年、東京慈 恵会医科大学がビタミン D の国内初の 基準値を公表。日本人の 98％がビタミン D 不足だとわかった。食生活の変化によ り、植物性のビタミン D の不足が顕著だ という。食事だけで必要量を摂取するこ とが難しいため、サプリメントでの摂取が 推奨されている。

“5 活” からのアプローチで新たなターゲット層への拡がりにもつながっているよ うだ。原料 OEM メーカーからの積極的な提案も期待されている。