DIET&BEAUTY

女性の健康課題の解決をサポートする 製品・サービスである「フェムケア」、「フェ ムテック」は、国の取り組みやメディアへ の露出、業界関係者による情報発信で、 一定の認知度を獲得している。一方で、 従来から市場に出回っていた吸水ショーツ などを除き、大ヒット商品と呼べるものは 未だ登場していない。大手参入が市場拡 大の起爆剤となるか。

店舗棚にもフェムケアが進出

これまで「フェムケア」、「フェムテック」 商材は、店舗における売り場の問題から も、専門店やポップアップショップでの取 り扱いがメインだったが、最近はイオンや ビックカメラ、GU、一部ドラッグストアでも 専用の棚を設ける店舗が登場してきた。 　背景にあるのはプレイヤーの増加とベ ンチャー中心だった市場に大手企業が参 入しはじめたことだ。昨年 11 月、もとも と吸水パッド「ロリエ」のブランドで知ら れる花王のカウンセリングコスメブランド 「トワニー（TWANY）」から新ラインとして、 デリケートゾーンケアの「トワニーアンドミー （TWANY&ME）」の販売を開始した。 　アサヒグループ食品㈱は、独自の乳酸 菌「CP2305 ガセリ菌」を配合したフェム ケアサプリメント『わたしプロローグ』を 3 月にも続けて 40 ～ 50 代をターゲットに 大豆イソフラボンと乳酸菌 CP2305 など を配合した新商品『ララフェム』シリーズ の販売をスタートさせるなど、本格的に 市場に参入した。また下着メーカーのワ コールでは、月経周期に寄り添ったブラ ジャーやショーツに加え、ナリス化粧品と 共同開発したオリジナルのフォーミング ウォッシュやセラムなどのボディー用化粧 品を開発、販売する。「カウブランド 赤箱」 で知られる牛乳石鹸共進社㈱もフェムケ アブランド「&fem（アンドフェム）」を立 ち上げ、20 ～ 30 代女性をターゲットに、 デリケートゾーン用の泡ソープ「フェムケ ア泡ソープ」、「フェムケア美白ジェル」 の 2 品の展開をはじめた。 　花王やワコールのように、もともとフェ ムケア用品の取り扱いがあった企業で は、専用の棚ができたことで先行商品と 合わせ、セットで広く展開する動きにつな がっているという。 　また乳 酸 菌の機 能 性 素 材「UREX （ユーレックス）」を取り扱う帝人㈱では、 今年 3 月にフェムケアの新たな食品素材 「ASTARTE（アスタルテ）」を発売し、フェ ムケア素材の提案を強化している。

テクノロジーでも女性支援 　

大手企業のフェムケアへの取り組みは プロダクトだけではない。自社の事業を通 じて女性活躍を支援する動きが高まって いる。ダイドードリンコ㈱は飲料用の自販売機で、女性用衛生用品（生理用ナ プキン）が購入できる「女性ヘルスケア 応援自動販売機」の展開を昨年 10 月よ り開始した。㈱ TOTO は、フェムゾーン ケアに関する専門家のミニコラムやウォ シュレットのビデの機能の使い方、おす すめの使用シーンなどを紹介する専用サ イト「New Beginning――ビデガイド」を 公開し、普及啓発活動に努めている。 　こうしたライフステージごとに女性が抱 える健康課題をテクノロジーで解決する 「フェムテック」製品・サービスの 2023 年の市場規模は59億円（富士経済調べ） で、前年比 3.5％と増加傾向にある。法 人向けのサービスだけでなく、消費者向 けの展開も広がりつつある。