連載

“文化の美を装うコミュニティ”八尾で、 新しい日常を旅する

地域の美と健康が動き出した【第46回】(富山県)

日常を旅する拠点「OYATSUベース」

哀切感ただよう旋律と坂の上を無言で踊る男女が、日本ばかりか世界中を魅了する”風の盆おわら祭り”で有名な富山県八尾町。日本の道100選にも選ばれた江戸時代から続く石畳のある景観も有名で、20年以上もつづく「坂のまちアート」を開催している等、様々な地域文化の魅力を発信している。

しかし、一時に多くの人々が集まる地域は、逆にそれ以外の期間の魅力をどのように伝えるかが重要な課題となっている。

株式会社オズリンクスは、「まちの宝を守りたい」という想いで、地元の酒造・和紙工芸・旅行会社と連携して旅するように日常を楽しむ“コミュニティ・ベースド・ツーリズム”をスタートした。

このツーリズムでは、町の歴史・文化をベースとした八尾の日常のくらし、「文化の美」の持続可能性を追求し、曳山やおわら祭りなどの町の文化を継承。通年観光を可能にするために、コミュニティ全体に宿泊や食・体験拠点等を分散化し、“平面ホテル”を模した構想を実現していく。

 “平面ホテル”に滞在することで、コミュニティが提供する「美」にまつわるサービスが体験できる。具体的には、着物・和紙の型デザイン・町家を※アップサイクルなどの新しい価値観で日常をとらえなおしたり、宿泊サービス・しつらえ、地元での日常食の提供、SNSでの情報発信等、基礎になる部分から見つめなおしたりするプログラムを作った。

 今後、地元のコミュニティで大事にしてきた資源をさらに活用し、誰もが「美」として装い、八尾を味わえる体験を増やしていく。客側・もてなす側という囲いを超えて、コミュニティに参加し、いつのまにか、そこにいつづける。そんな体験を提供していくツーリズムの実現が期待される。

※アップサイクルとは、付加価値の高い物に作り替えること。近年、持続可能性の高いものづくりの方法論として注目されている。

(独)中小機構 北陸本部アドバイザー

村本睦子

ITコーディネイター。中小企業の新事業展開、観光SDGs、IT経営革新などの支援に携わる。

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