連載

お肌と地球に優しい純国産「こんにゃくスポンジ」

地域の美と健康が動き出した【第53回】(群馬県)

山本農場はもともとネギやこんにゃく芋を栽培する農家だった。昔の農家は、自家用に加工したこんにゃくを厳冬期に外で凍結・乾燥し、「スポンジ」として赤ちゃんのお肌洗いなどに使っていた。「石鹸なしで使えて、肌に優しいとてもなめらかな感触とすっきりした洗い心地という特徴を有するこんにゃくスポンジの素晴らしさを広めたい」との思いから1990年に創業した。

お湯で戻してそのまま使用

当初から、原料こんにゃくは100%群馬県産使用、抗菌剤・防腐剤・石油由来成分などは一切使わず、植物由来の洗顔用品としてアトピーや敏感肌の方を中心に少しずつ愛用者を増やしてきた。ヨーロッパを中心に海外での人気も高まり輸出が増え、和風コスメとしてインバウンド観光客のお土産としても認められるようになった。

一方、こんにゃくスポンジが広く親しまれるようになるにつれて、安価な海外製が出回るようなったが、その多くは抗菌剤や防腐剤が使われている。

そこで、化学肥料を使用しないJAS認証を取得した有機栽培こんにゃくを原料とし、パッケージも古紙パルプ100%再生紙を使用した新商品を開発した。肌に優しいだけでなく、使用後はすべて土に還る地球にも優しい製品である。製法も研究し、よりきめ細やかなものとし、紀州産備長炭や静岡産抹茶など日本由来の天然成分を加えたバラエティ商品も増やした。

中小機構が支援する展示会(中小企業総合展 in Gift Showなど)、商談会(海外CEO商談会など)、セミナー(EC活用支援、D2Cスタート講座など)、地域活性化パートナー企画に積極的に参加し着実に販路開拓を進めている。

コロナ禍に見舞われ観光需要は激減したが輸出は堅調で、決して一時的なブームで終わる商品ではない。使えば使うほどそのよさがわかり、一生お付き合いできる、肌にも地球にも優しい商品。これからも地道に群馬県から国内外のファンづくりに挑戦していく。

有限会社山本農場 https://yamamotofarm.co.jp/

(独)中小機構関東本部 中小企業アドバイザー(経営支援)

笹沼 喜美男

地域資源活用・農商工連携関連の新事業創出と事業化を支援。元商社勤務、中小企業診断士、貿易アドバイザー

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