スパ

琉球リゾートスパで、地域活性へ

090105.jpg

 ここ数年リゾートホテルの開発が続く沖縄。スパの併設はもはや当たり前となり、海外有名スパのオープンは、ホテル集客の目玉とさえなってきた。今年の夏も沖縄のリゾートホテルに多くの観光客が訪れた。その中で、八重山諸島・石垣島の『パナ・ンスパ』は、石垣島の大自然と、沖縄ならではの魅力を体験できる「琉球リゾートスパ」として登場、集客に成功している。
 スパを活用する地域活性のビジネスモデルとして県内外から注目されている。


「出会えば皆友達」のおもてなし
 プロデュースと運営は㈲パナ・ン。代表の宮平玄幸氏は、「沖縄の言葉の『イチャリバチョーデー(出会えば皆友達)』というおもてなしの心や文化など沖縄のよいものを作り、表現し、サービスしたい。スパで使ってみると沖縄の化粧品がとても人気がある。なぜこれまで誰も使おうとしなかったのか不思議なくらいだ」と話す。
 ここ数年リゾートホテル進出で沸いた沖縄。化粧品もインパクトを重視し海外や国内有名ブランドを採用するケースが続き、地元ブランドの出る幕はなかった。観光収入が拡大する一方で、「地場産業との連携」や「沖縄らしさ」の不在が課題とされ、県内のスパ関連事業者の間で「琉球スパ」の確立を求める声も徐々に大きくなっていた。
 琉球リゾートスパがコンセプトの『パナ・ンスパ』は、今年2月沖縄県石垣市にオープンした「石垣リゾートグランヴィリオホテル」内にある。ルートインホテルグループチェーン初のリゾートホテル。
 宮平氏は、7~8年前からバリやタイのスパを視察するうち、沖縄でも「沖縄らしい」リゾートスパが確立
出来ると考えた。そんな折、ルートインホテルが石垣島に進出する計画を聞き、東京本社を何度も訪れ、社長に直にプレゼンテーションを行ったという。
 ホテル側は、ブランドスパなどの多くの候補の中から、宮平氏の琉球スパを具現化する提案を選択した。地域を大切にし、活性化させたいという考えで方向性が一致した。
化粧品や内装もすべて「琉球スパ」
 まず、化粧品商材には、琉球クチャ(海泥)、サンゴ、ゴーヤ、モズク、黒糖、ハイビスカスなど沖縄伝統素材を最大限使った地元化粧品企業の商材を採用した。
 トリートメントも、沖縄の商材やイメージを前面に打ち出した。琉球アロマの「ヒーリングメニュー」(60分13,650円)、琉球クチャを使った「フェイシャル」(45分8,400円)、サンゴパックなどの「美ら島ボディパック」(30分8,400円)、石垣島のソルトやさんごの「スクラブ」(30分8400円)や、ハイビスカス、泡盛、月桃の「ジャグジーバスメニュー」(各30分7,350円)など。
 内装にも、こだわった。約67坪の店内は、全個室のトリートメントルーム、フロント・待ち合い、パウダ
ールームがゆったりと配置され、誘導部の壁面はサンゴ石灰石を使った。室内壁面は砂浜、個室の天井は茅ぶきをイメージした。地元の原料や技術、産業を活用し、可能な限り沖縄らしさを演出した。
海、温泉とスパで地域活性の突破口に
 オープン後2~3ヶ月の5月あたりから宿泊客が増え始め、それにともないスパの利用者が増加していった。7月には、1日40~50人が入り、フル稼働状態となった。
 顧客の9割はホテル宿泊客だが、地域のビジター利用にも開放している。顧客の中心は30~40代で、徐々に中高年層が増えている。10月には、小浜島のラグーンスィートヴィラアラマンダ内のアラマンダスパもオープンした。ここでも「琉球スパ」を前面に出し、順調にスタート。
 「県内のホテルもスパの大切さに気づいてきた。そういった施設に沖縄らしさを前面に出したスパをつくっていきたい」(宮平社長)。スパによる健康増進、観光、産業、雇用面への波及効果が期待されるなか、沖縄に限らず、海辺や温泉のある地域で、スパを地域活性の突破口にする取り組みが始まっている。

イベント情報

PAGE TOP