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何処で計測した健康データでも、一ヶ所に集約して活用へ

美と健康の仕掛け人に聞く
(株)タニタヘルスリンク 代表取締役社長 坂井 康展 氏

 2008年から経産、総務、厚労の各省が連携して実証試験を進めてきたPHR(パーソナルヘルスレコード)。地域住民の健康情報を集約し、生涯健康情報として健康サービスや産業創出につなげようというもの。現在民間企業も巻き込んだ大きな広がりを見せている。既に通信機器を活用した会員制の健康管理サービス「からだカルテ」を展開している㈱タニタヘルスリンクの坂井社長に話を聞いた。


●タニタヘルスリンクの事業のこれまでの歩みは?
 (株)タニタヘルスリンクは正式には2007年3月からのスタートです。タニタとしては、2005年頃から、ハードメーカーが提供できるサービスの検討をしていました。そして、「体組成計」で計測した結果をネットワーク上で管理する仕組みを作って、その仕組みを使うITサービスと、専門家による健康指導を行うヒューマンサービスという2つを柱に展開をしています。これは発足当時から変わることはありません。
 いまや「からだカルテ」の利用者は15万人を超えています。メタボを気にする個人と健保組合関係で、30~40代の男性が中心です。狙ったわけではないのですが、「からだカルテ」サービスのターゲット領域を決める際にちょうど特定健診に関わる法改正とタイミングがぴったり合いました。
 その取り組みで学んだことは、皮肉なことに、実際に健康管理することを目標にしている人たちは非常に少ないということでした。人は何かもっとポジティブな動機や理由があってこそ健康管理に向かうようです。予防のために自らのお金で消費行動を起こす人はまだまだ少ない。これが例えば、ダイエット、ビューティ、癒しでなら、ビジネスは成り立つのでしょう。
●抱えている課題は?
 我々にとって「継続率」は常に課題です。利用者層には、パソコンなどのデータを蓄積するハードを持っていない方、次にパソコンなどデータ管理するハードを持っている方、もっと進んでいて、無線LAN対応で体組成計に乗るだけで勝手にデータが飛ぶようなハード利用環境の方という3つの群がいます。
 そして調査では、継続率は3番目に向け順に高くなります。最後の群は、継続率78%と非常に高い。つまり体組成計に乗るだけなら習慣化できるが、記録となるとどうも難しい。自動的に記録される状況だとかなり続くことがわかりました。そこに、さらに定期的なアドバイスや、何らかのエンターテイメントが加わると一層効果が上がります。
 人的なサポート、アドバイスのノウハウについては、1995年頃からタニタは「ベストウェイトセンター」という来所型の施設で、健康指導プログラムを提供しながら蓄積してきました。その時からのメンバーで、管理栄養士や健康運動指導士が、今も運動と栄養の指導をしています。特定健診の保健指導事業者としても、その資格者が実務に当たっています。
 しかし我々は、いま実際の指導の現場においては、そのスキルだけでは不十分だと感じています。いまやコーチングとか産業カウンセラーのような、心理学的なスキルが欠かせないと感じています。結局、からだ、食事のケアだけでは足りなくて、心のケアが大切だというところに行き着いたのです。
●今後の戦略について
以下は紙面でご覧下さい。
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坂井康展氏
株式会社タニタヘルスリンク代表取締役社長
ニューヨーク州立大学卒業後、アクセンチュア株式会社にて6年間コンサルティング業務を経験し、2006年に株式会社タニタに入社。ネットヘルスケアを手がける株式会社タニタヘルスリンクを立ち上げ、2007年4月より現職。

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