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「森林」と「健康・美容」との 新たな連携を(林野庁 森林利用課 前 山村振興・緑化推進室 室長 木下 仁 氏)

〈インタビュー〉林野庁 森林利用課 前 山村振興・緑化推進室 室長 木下 仁 氏

林野庁では森林空間を多彩な分野で活用する「森林サービス産業」の創出、推進に取り組んでいる。20 年は、健康エビデンスの取得や「ワデュケーション(ワーケーション
+エデュケーション)」のモニターツアーを実施した。次のステップとして、健康や美容分野のサービスとの連携に期待を寄せている。


今年度の活動を踏まえ、来年度に向けて

AI などのテクノロジーが進化することで、その反動からか、物事を直に体験することや体感することがとても必要に思えるようになってきました。森での自然体験もそのひとつです。
しかしながら、都市に生まれて都市に暮らしている人は、そもそも森に対する原体験がないので、日常で自然に接する機会がなくなっているというのが今の状況でしょう。
本来日本人は森と付き合って生きてきました。森には都市にない多様性があって、その場で見たことや感じたことは、またとない貴重な体験でした。そのことで自身への気づきが生まれてきたのです。現代においても森林との関わりを増やしていきたいという考えのもと、森林空間を日常生活で利用する仕組みを作るために「森林サービス産業」という取り組みが始まりました。
今年度は、健康経営を目指す企業や健康保険組合に対して、森林空間を活用した健康プログラムを提供する仕組みと体制作りに取り組みました。「森林サービス産業」が提供できる健康を核とするプログラムとはどういうものか、モデル事業を通して可能性を検証しています。
このほか、林野庁では、新たな森林との関わり方の提案として「森林×SDGs親子で楽しむ森の時間『ワデュケーション』体験モニターツアー」を実施しました。
家族で、しかも滞在型で森へ行く場合、お母さんにはヨガやアロマ、子供たちには森林体験や森林教育として森を体感する様々なアクティビティも魅力です。これらのサービスを複合的に展開する仕組みや、中心となる健康プログラムと、滞在中のいろいろなサービスを連携する仕組みを作りたいと考えています。
親子で行く森林の楽しみをぜひ味わっていただきたいと思います。

地域にとって「森林サービス産業」への関心は?

地域は何処も人口減少という大きな課題を抱えています。持っている資源を活用して人を呼び込もうとする森林サービス産業の取り組みへの関心は非常に高いと思います。ただ、具体的な施策についてはこれからです。既に「マウンテンバイクに乗りたい」、「トレイルランをやりたい」とか、「森林セラピーを体験したい」といった希望に応える個々のサービスはあるのですが、それが地域の中で有機的に繋がっていないのです。
例えばワーケーションも、ハコモノさえあれば黙っていても人が来るわけではありません。地域の魅力や特性を生かしたメリットを発信しなければ、場所はどこでもいいということになります。人を迎えてサービスを提供するためのノウハウや人材は十分とは言えません。自信をもってお客様に提供できるサービスにこれから磨いていかなければなりません。その意味で、ビューティやウェルネスの業界で実際にサービスを提供している皆さんに関わっていただくことは、これまで無かった新しい発想に出会う大きな意味があると考えています。

産学官や省庁間の連携については?

政府の成長戦略の中に、「森林サービス産業」が産学官の連携を進めるためのプラットフォームを整備する計画があります。我々は現在そこに向けた取り組みを検討しているところです。エビデンス取得の考え方や推進体制についてどの事業体が中心になって、どういった業界間で連携するかを議論するプラットフォームです。今後、様々な分野の皆様にご協力をお願いしていきたいと考えています。
また、環境省と農林水産省で「グリーン社会」をデザインするための連携の協定を結んでいます。大きなテーマは脱炭素化やグリーン化ですが、「分散型社会の実現」が項目として入っています。森林や自然公園など地域資源に関係する各機関が協力し合い、ワーケーションなどの社会ニーズに応えることが、分散型社会に向けて連携していく分野だと考えています。特に森林滞在場所の多くが温泉地ですから効果的な連携を生むでしょう。
美容健康産業向けにメッセージを
美容・健康分野の皆さんは日頃から人と向き合って、その人の健康や美容のため気づきを与えサービスを提供されていると思います。是非そういったノウハウを都市の部屋の一室からの発展型として森という場で展開していただきたいと思います。自然の持つ力が加わり新たなサービスを生み出す機会となるでしょう。また皆さんのスキルが、森林の魅力や特性を来訪者の気づきにつなげていただける意味でも非常に重要な連携になると考えています。「森林サービス産業」の発展に直結する大切な取組です。ぜひ皆さんに
森に関心を持って頂き、皆さんのビジネスに「森」という空間を足してみることを考えてみて頂きたいと思います。

きのした ひとし
1992年林野庁入庁。山形森林管理署最上支署長、林野庁木材産業課課長補佐、広島県林業振興部長等を歴任し、2017年1月より林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室長(2021年1月より同庁)

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