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縦割り社会に「横串」をさして大きなチャンス創出

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観光庁 長官 溝畑 宏氏
 世界に先駆けて超高齢化が進む日本。景気低迷から閉塞感が漂う一方、2009年12月に策定された政府の新成長戦略では、「観光」が6つの成長戦略分野の1つに。今年から医療滞在ビザ運用も開始され、2月からは、様々なヘルス、エコ、スポーツなどのツーリズムのモニターツアーが実施されるなど、観光立国化への積極的な取り組みが始まっている。訪日外国人3000万人への方策を、観光庁トップ溝畑宏長官に聞いた。(3月8日現在)


■日本の観光産業の現状は?
 
 少子高齢化、経済の低迷など閉塞感が漂う日本ですが、しかし、そこを打破する優れたコンテンツも沢山あります。モノづくりの技術力、治安の良さ、四季折々の豊かな自然、歴史的な建造物、清潔感があり礼儀正しいサービス、時間厳守の交通網、そして文化、ファッション、スポーツ、…実はこれら全てが観光資源となります。いま重要なのはこれらの魅力をブランド化し、世界へアピールし、ビジネス化していくこと。またヒト、モノ、カネを引っ張ってくることだと考えています。観光は、日本が元気になるための原動力になります。しかも、地域経済へ大きな波及効果が見込めます。観光産業は23兆円といわれていますが、実際の様々な産業への波及を考えると50兆円にものぼるのです。
 現在日本は、観光を軸にした成長戦略に取り組んでいますが、実は、アジアの中でも出遅れています。韓国は20年も前から文化・スポーツ政策をとって、クールコリアとして国際観光に積極的に取り組んでいます。タイもマレーシアも積極的です。シンガポールもカジノを導入して変わりました。日本は、その競争に参入したばかり。2009年東アジアの観光客数は1億8千万人でしたが、10年後には4億人に達すると言われています。そのとき日本はどれほどの観光客を呼び込むことができているかが勝負です。
■観光立国化へ課題とは?
 認知度を高める効果的なプロモーションが重要です。そのためにはSNSからマンガまで、あらゆるメディアを使ったPRが必要です。そして何より受け入れ体制の整備が急務です。Wi-Fiの無料化やエリア拡大、通訳案内士の人材確保など。
 しかし、今の日本にとって一番必要なことは、外国人を見たら挨拶をするというマインドではないかと考えています。私は子供の頃、フランスとイタリアで暮らしたことがあって、外国人を見たら挨拶をしなさいと教えられたものです。大事なことは「いらっしゃい」という気持ちと笑顔。まず、明るく挨拶ができるか、それが本当の意味の観光立国への第一歩だと思います。
 サッカーの日韓ワールドカップ開催は、地方の方にとっても、少しでもそのマインドを変えるきっかけになったように思います。いまでも地方では外国人に会うことがめったにありませんから。
■サービス業者にとって重要なことは?
■スポーツ観光への期待は?
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