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【インタビュー】紀州梅効能研究会 プロジェクトリーダー宇都宮洋才氏

新元号である「令和」が日本最古の歌集万葉集「梅花の歌」から採用されたことは記憶に新しい。梅は「一粒で医者いらず」というように、古くから日本人に親しまれている代表的な健康食品素材だ。近年では、梅のもつ様々な機能性が報告されている。紀州梅効能研究会プロジェクトリーダーである宇都宮洋才氏に、梅研究の最前線を聞いた。

■ 機能性研究について
梅は古くから健康によいといわれてきた食べ物です。しかし、私が梅の研究を始めた頃には、先行研究はほとんどありませんでした。当時、週刊誌などに掲載されていた記事を読んでも、元となる論文がまったくなかったのです。研究はまず、梅の言い伝えを調べることから始まりました。ご飯に梅干しいれたらコメが腐らないとか、梅干しを食べると二日酔いにならないとか、肩こりが治る、痩せる、不妊が改善するなど、様々な言い伝えがあることが分かりました。これらの言い伝えを科学的な視点で検証することで研究を進めています。まず初めに行った研究は「ごはんが腐らない」という言い伝えの検証でした。MRSAという抗生物質が効かないブドウ球菌を用いて実験をした結果、梅干しを入れた群と入れていない対照群では、菌の増殖に差が見られました。次に検証したのが「二日酔いにならない」という言い伝えです。これは動物実験の結果、胃の出血を抑えることがわかりました。このように、言い伝えを検証していった結果、様々な機能性が明らかになり、また、関与成分として「梅リグナン」や「梅バニリン」を同定しました。

■梅リグナン、梅バニリンについて

リグナン類は植物ポリフェノールの1種で梅に多く含まれており、4つのリグナン類を総称して「梅リグナン」と呼んでいます。「梅リグナン」では、これまでの研究で「ヘリコバクターピロリ菌の運動能力を阻害または抑制する効果」「抗炎症作用」「インフルエンザウイルスの増殖抑制効果」「血流改善」「抗酸化活性作用」などが報告されており、「梅バニリン」には「脂肪燃焼効果」が報告されています。これらの成分を消費者に知ってもらうために、活動する企業もあります。たとえば今年初めには、梅製品に含まれる「梅リグナン」「梅バニリン」の含有量を表示する試みも始まりました。今後も、さらに機能性研究を進めながら、消費者へ正しい情報を届ける取り組みを進めたいです。

本記事は「健康産業新聞 1665号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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