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【インタビュー】抗炎症素材の摂取で健康増進の可能性/立命館大学生命科学部生命医科学科 西澤幹雄氏

■ 慢性炎症は疾患の発症に関わる重要テーマ

メタボリックシンドロームや心不全、アルツハイマーやがんなどの患者の血液中にはTNF-αなどの炎症性サイトカインが増加しており、慢性的な炎症状態にあることが分っています。つまり慢性炎症は、あらゆる疾患の発症や進行、重症化に密接に関わる重要なテーマといえます。

しかし、炎症が問題とはいえ、炎症自体を完全に無くしてしまえばよいのかというと、実はそうではありません。皮膚や腸には多くの細菌やウイルスが常在しているため、無菌状態にして炎症を無くすことはできません。むしろ、弱い炎症反応は免疫力を高めている可能性もあります。

問題となるのは、高いレベルでくすぶる慢性炎症で、抗炎症作用を有する漢方薬や生薬などは、疾患の予防に役立つのではないかといわれています。同様に、抗炎症作用を有する機能性食品素材は慢性炎症を抑えることで、疾患の予防に役立つのではと期待されています。

例えば、抗炎症作用を有する食品素材には、TNF-αなどの炎症性サイトカインや、ケモカイン、一酸化窒素といった炎症を促進する物質の合成を抑制する働きがあります。あらゆる疾病予防や老化を防ぐ意味でも、これらの炎症性サイトカインなどをバランス良く保つ必要があります。

抗炎症作用を有する機能性食品素材は、健康体を維持するための補助的な役割を発揮すると考えられ、抗炎症素材を継続摂取することで、過度の炎症反応を抑え、健康を増進させる可能性が考えられます。

私たちの研究室では、食品成分の抗炎症作用に関する研究を実施していますが、例えばシソエキス(アミノアップ社)では、Shisoflavanone A(新規フラボノイド)、ネグレテインなど、抗炎症成分があることを明らかにしております。肝細胞における一酸化窒素(NO)の誘導的産生を抑えるだけでなく、炎症性サイトカインやケモカインの産生も抑制し、炎症反応全般を抑制する作用を持っているといえます。こうした食品の摂取は、炎症抑制の観点からも有用ではと期待しています。

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