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特集【食品受託試験/機能性表示支援】明確な「ヘルスクレーム」に向けCRO躍進

「機能性」「安全性」を証明し、機能性表示支援などの事業を行うCRO(受託試験企業)。明確なヘルスクレームを表示することがヒット商品を生み出す鍵ともなる現在、確かなエビデンスを構築するCROは不可欠な存在だ。機能性表示食品は2015年4月の制度開始以来増加を続け、2020年4月30日現在2,600品を突破。新規届出の勢いは衰えない。4月1日には「事後チェック指針」が導入され、より確固たる試験デザインが要求されるようになった。アフターコロナの需要増に向け、CROでは被験者・試験関係者への感染予防対策や、被験者が継続して参加するか否かについて自由意志であることを再確認する「倫理的対応」についてなど、厳重な体制を整えた上で事業を進める動きがある。

■機能性表示食品2,600品突破 明確なヘルスクレーム表示求める

健康食品等の安全性などを調べる「非臨床試験」や、実際にヒトで有効性等が得られるかを検証する「ヒト試験」などを受託するCROは、顧客のニーズに応じて試験デザインの設計から、報告書の取りまとめ、論文発表、届出などに対応する。届出は食品メーカー等が自ら行うこともできるが、「ヒト試験」については第三者機関によるものが原則とされている。2015年4 月にスタートした機能性表示食品制度は6 年目を迎え、取り下げを除く累計の届出数は2,629品となった( 4 月30日現在)。人口減少や高齢化で国内の消費が伸び悩む一方で、健康への意識は全世代で高まる傾向が強く、機能性ヨーグルトの例をはじめ「整腸」「コレステロール」「肌」など、はっきりとヘルスクレームを表示することで売り上げを大きく伸ばす商品が続出している。機能性表示食品制度は事業者の責任による届出によって行われ、既存の論文を評価する「研究レビュー」または、「ヒト試験」でエビデンスの証明が行われるが、より明確なヘルスクレームを表示するためには「ヒト試験」でエビデンスを構築することも必要となり、ノウハウをもつCROの存在感が増している。

■「事後チェック指針」4月運用開始 より厳格な試験デザイン求められる

機能性表示食品制度では、科学的根拠をもとにした届出内容を超えた表示をすることは許されないが、事業者が表示したいヘルスクレームに向けて、試験を確実にデザインするノウハウをもつCROにとっては追い風となっている。CROからは「より明確なヘルスクレームの表示を希望するメーカーからのニーズが高まっており、ニーズに応じた試験の設計を行っている」といった声が目立った。活用が進む機能性表示食品制度だが、一部で不適切な表示や届出内容の不備がみられ、消費者庁が指摘を行う例がみられている。消費者庁は企業に対して、事前に問題を防ぐことを目的とし、科学的根拠、広告表示で不適切となるケースを例示する「事後チェック指針」を策定。4月1 日に運用が開始されたが、CROにはいっそう厳格な試験デザインが求められるようになった。届出資料については、「表示の内容が科学的根拠の内容に比べて過大」「表示と科学的根拠との関係性が認められない」といった不備となる例が示され、広告や表示については、「届出された機能性の範囲を逸脱した説明」や「届出表示の一部を切り出して強調する」といった、不適切となる例が示されている。

 

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