健産抄

【健産抄】アベノミクスの陰、輸入食品・原料に深まる歪み

株価の上昇、雇用の改善、輸出企業の好調な動きなどが評価され、長期にわたる景気上昇が指摘される一方で、消費の低迷、給与の伸び悩み、子どもの貧困の拡大など、負の局面も広がっており、これまでの景気上昇局面のような景況感が生まれてこない。

こうした中で、NHK18日のクローズアップ現代では、「食品のスモールチェンジ」を取り上げていた。チョコレート、ヨーグルト、牛乳、納豆、おにぎりなど、あらゆる分野の食品で、容量のサイズダウンが進んでいる。その背景には、原料価格の高騰と価格転嫁ができない小売の板挟みになっているメーカーの悲鳴がある。ここでも日銀の超緩和政策で円安が進んだ分、輸入原料や輸入食品の高騰に円安の為替の影響が上乗せされ、食品加工などで倒産も増えていると指摘している。国際的に見て2000年から各国の給与が1.5倍になっているのに、日本ではほぼ横ばいという現状も、消費の伸び悩みの要因だとの指摘も紹介された。

輸入食品原料の値上がりのもう一つの要因に、中国、東南アジアなどの所得の拡大、欧州などでの日本食人気などがある。カニカマなどの極めてローカルな印象の食品でも、アジアや欧州で急成長し、その分、原料のスケソウダラも値上がりが続いているという。

簡単に言えば輸出企業が潤った分、輸入企業の景気悪化が進み、トータルでは購買力の支えになる給与の伸び悩みのが、世界の購買力の拡大に力負けしているという事か。経済学者の吉川洋氏は「消費と輸出の経済成長への寄与率」について、戦前は輸出依存だったが、その後の好景気では、内需が6割を占め、輸出の寄与は1割にも満たなかった。現在は輸出の寄与率が7割も占めているのに、消費は3割と極めて弱い」という。

国民が消費を楽しむことの出来る環境が好景気の証というのは、体験してきた世代には分かるが、若い世代には、これが好景気だと説明するには、いささか悲しい。正規雇用が3000万人、非正規が2000万人、これに少子高齢化が加わり、ますます先が見えなくなっている。

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