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特集【海外サポート】拡大する世界の健康食品市場、情報収集で商機を掴む

アジアを中心に目覚ましい成長を遂げる世界の健康食品市場。中国や東南アジアでは生活習慣病予防対策を目指す改革が進んでおり、サプリメントや健康食品の需要が拡大している。一方、日本では、国内市場が成熟期に入り、海外進出の必然性が高まっている。こうした中、日本企業は従来の海外進出に加え、イン・アウトバウンドビジネスを結ぶ越境ECや、ムスリ
ム訪日観光客をターゲットにしたマーケティング戦略を進めている。

■成長する世界の健康食品市場

世界の健康食品市場は、アジアを中心に目覚ましい成長を遂げている。英国調査会社のユーロモニターがまとめた「Global Vitamins and Dietary Supplements2019」によると、2018年度における世界のビタミン・栄養補助食品マーケットの売上は、約1,140億ドルに成長。国別では、米国が291億ドル、中国が231億ドル、日本が110億ドルと、上位を占めた。一方地域別では、中国を含むアジア地域が目覚ましい成長を遂げ、市場規模は500億ドル(前年比5%増)に到達。世界のビタミン・栄養補助食品市場の半分を占める結果となっている。

米国調査会社のフロスト&サリバンは、「中国や東南アジアを中心とする新興国では、急速な経済成長を背景に、中間層の消費が拡大し、健康食品の需要が高まっている」と分析する。近年、中国や東南アジアでは生活習慣病予防対策を目指す改革が進んでおり、なかでも東南アジアでは、糖尿病の増加に伴い、甘味清涼飲料に対する砂糖税が導入され、健康食品業界や消費者のリテラシーに影響を与えているという。昨年シンガポール保健省は、国内の糖分摂取基準を上回る飲料に「不健康」ラベルの表示義務化を目指す方針を発表。同政策では、国民の健康リテラシーを高め、国内で流通する甘味飲料の見直しが実施されるという。さらに同社は、「シンガポール、マレーシア、インドネシアでは生活習慣病予防対策として、サプリメントの利用が拡大しており、今後も東南アジア地域における健康食品市場は成長していくことが見込まれる」と語る。

サプリメント大国であり、世界トップの市場規模を誇る米国も成長を続けている。米国栄養評議会(CRN)が昨年公表した「ダイエタリーサプリメント消費者調査2019」によると、米国消費者の77%(前年比2 %増)がサプリメントを利用しており、過去最高記録を達成。店舗では植物由来のサプリメントのほか、日本企業が得意とする緑茶や、大麦若葉などの青汁素材の人気も高まっており、日本企業のビジネスチャンス拡大が期待される。インフォーマ・ヘルス&ニュートリション部門副社長のJon Benninger氏は、「米国では近年消費者の多くが自然でナチュラルな商品を選択するようになり、ハーブ・植物性素材の人気が高まっている」と分析する。米国の規格に沿った商品設計を実現することで、日本のサプリメントや機能性食品は米国市場でも期待できるという。

■海外事業は堅調に成長、イン・アウトバウンドビジネスに注目

今年2 月にJETROが発表した「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査019年」によると、2018年の海外進出企業の海外売上高比率平均は18.9%となった。「海外に拠点があり、今後さらに拡大を図る」と回答した企業の主な海外拠点は、中国、ベトナム、タイ、米国、インドネシアが上位にランクイン。ベトナムは4 1 %(前年比4.6%増)と初の4 割を超え、海外事業拠点地として、日本企業の注目を集めた。業種別では、医療品・化粧品企業(前年比7.6%増)がトップに。「今後の輸出に関する方針」を調査したアンケートでは、医療品・化粧品は92.6%、飲食料品では89.6%の企業が、アジア地域や新興国の需要拡大を見据え、海外輸出の拡大を予定しているという。

JETROの担当者は、「アジア地域におけるMade in Japanブランドの人気や、インバウンド需要の拡大が、日本企業のアジア進出を後押ししている」と分析する。一方、「輸出先によっては、日本と同じヘルスクレームや成分が使えるとは限らず、輸出先の規制や現状を把握する必要がある」と指摘する。最近では、越境ECを活用した海外展開の成功事例も目立っており、海外進出には、現地の情報や規制の理解に加え、マーケティング戦略が重要になるという。

マーケティング市場調査会社インテージの最新調査によると、2018年の中国越境ECにおける日本製品の売上は3,870億円(前年比36%増)を記録。食品関連は全体の約300億円で、その内健康食品やサプリメントは規模も伸びも大きいという。同社のアナリストは、「訪日中国人客が旅行中に買った商品を、帰国後にリピート購入する消費行動が発生しており、インバウンド消費が中国越境EC消費を拡大させている」と語る。さらに同氏は「昨年施行された中国電子商取引法(新EC法)の影響は、市場には大きく反映されておらず、成長を維持している」と指摘する。越境EC市場は、海外市場開拓のための有力な手段かつ成長分野であり、この流れは今後もさらに加速していくことが予想されるという。

日本のインバウンド需要は越境ECに加え、日本のハラール市場にもビジネス商機をもたらしている。アジアハラール協会は「ムスリム訪日外国人観光客の増加に伴い、ハラール認証を取得する企業が増加している」と語る。ムスリム観光客の多くは、日本産の食品や健康食品に関心をもっており、ハラール認証は商品の価値を高める購買要因となっているという。同協会は、「東京五輪から大阪万博に向けて今後訪日ムスリム外国人観光客の増加が予想される。ムスリム外国人観光客の日本食や健康食へのニーズを満たし、ビジネス商機を生み出すハラール商品に期待したい」と述べる。

本記事の続きは「健康産業新聞1688号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら

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