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特集【雑穀】味+美容、健康 新たな食べ方提案で市場開拓へ

雑穀を取り巻く環境が活気づいている。健康情報番組や雑誌などで取り上げられたことを機に、消費者の認知度は一気に上昇。「もち麦」の認知度は9割に達し、市場で確固たる地位を構築している。炊飯用途のほか、即食レトルト、グラノーラ、シリアルバー、製菓・製パンなど雑穀製品の開発も活発化。雑穀活用の最終製品では、「スーパー大麦」や「乳酸菌」「低糖質米」の配合で差別化を図った商品化も。美容と健康をテーマとした新商品開発が進んでいる。業務用では、食べやすさ・栄養価を高めた「胚芽もち麦」「米粒もち麦」を配合する商品開発の引き合いもみられはじめた。米国で需要が高まるホワイトソルガムきびやキヌア等の“古代穀物”は、食物繊維やレジスタントスターチ、ミネラルが豊富なグルテンフリー食材として国内でもにわかに注目を集めている。

■もち麦認知度「9割」に 2017年度から10ポイント上昇

「おいしさ」と「健康効果」から雑穀の価値が再評価されている。各種メディアで雑穀の機能性がクローズアップされ、なかでも「もち麦」はプチプチとした食感と食物繊維が豊富な健康食材としての認知が進んでいる。

㈱はくばくが毎年実施する大麦の利用実態調査では、認知度・満足度とも年々向上傾向に。今年2月に実施した調査では、もち麦製品認知度は89%(20歳以上の既婚女性)で、2017年度調査の77.3%から約10ポイント上昇した。もち麦含む大麦製品の満足調査では、「おいしい」と回答した年代は20代(40.3%)・30代(49.3%)で多いことがわかった。

食物繊維と聞いて思い浮かべる食材の問いには、もち麦が8位(33.3%)と初ランクイン。ごぼう(72.5%)、サツマイモ63.1%)、玄米(39.0%)に次ぐ順位となった。同社では、もち麦の食物繊維量について「100gあたり12.9g」とし、「ごぼうの5.7g、サツマイモの2.2g、野菜・玄米の3.0gと比較しても圧倒的に多い」としている。

もち麦の食経験についての調査では、「食経験なし」が約5割に。需要開拓の伸びしろは十分ある結果となった。

■ “食べ方提案”で市場深耕へ

本紙が雑穀サプライヤーを対象に実施したアンケート調査では、「市場拡大には食べ方提案が必要」とする回答が複数あった。「雑穀は健康に良さそうなイメージがある一方、家庭で調理するのは面倒そうなイメージがある。

試食や調理体験、レシピ提案を通して、誰でも手軽に扱える食材との認識が広がれば市場拡大につながる」「米に混ぜるだけでなく、パン・菓子・ドリンクへの展開がキー」などの声が。このほか、「雑穀商品は全国的にどのスーパーでも購入できるようになった。今後は加工食品をいかに伸ばしていくかポイント」「雑穀自体の栄養価や有意性を、医師や美容の専門家などの見解で広めること」といった声もあった。

■「乳酸菌」+「雑穀」など 新たな切り口での商品開発も

乳酸菌を雑穀米に配合した製品も登場した。種商は8月31日、熱に強く、腸まで届く“ヘルパー乳酸菌”を雑穀に配合した『強くまもる乳酸菌』と上市。コロナ禍における免疫系素材のニーズを受けて開発した。同社によると、「白米1 ~ 2 合に1包(20g)を混ぜて炊くだけで、1,000億個の乳酸菌を摂取できる」としている。

糖質制限・ダイエットを訴求した商品も。㈱旭食品は9月1日、低糖質米と雑穀(10種)をブレンドした『糖40%off ごはん』を発売した。糖質は白米比較で約40%カット。雑穀はもち麦、大豆、もちあわ、もちきび、はとむぎ、キヌア、アマランサス、カニワ、白ごま、黒ごまの10種をブレンドしている。

■米国で注目集める古代穀物 ホワイトソルガムきび

米国では近年、“古代穀物”をキーワードに雑穀摂取の機運が高まっている。きっかけのひとつはハリウッド女優の食生活。アンジェリーナジョリーが美容・健康のために古代穀物を好んで摂取していることが注目を集めた。

古代穀物とは、古代インカ帝国時代の数千年前からエジプト、アフリカ、南米などで食されてきた穀物で、一般的な穀物と比較して栄養価が高いのが特徴だ。たんぱく質やアミノ酸、ミネラル、食物繊維を豊富に含むほか、代謝を高める有用性もあることから、ダイエット素材としての認知も広がった。

主な古代穀物は、エジプト原産のスペルト小麦(小麦の原種)やペルシャ原産のエンマー小麦、ホワイトソルガムきび、キヌアなど。日本では、栗・きびが古代穀物にあたり、栄養価の優れたスーパーフードとして捉えられている。

米国で人気が高いのがホワイトソルガムきび。日本ではキビの一種「たかきび」として知られている。白米に比べて食物繊維、ミネラル、鉄分が多く、さらにグルテンを含まないことから「グルテンフリー」食品としても認知されている。

■キヌア・アマランサスに注目

雑穀市場では、近年のスーパーフードブームをきっかけにキヌアやアマランサスが躍進。日本では馴染みのなかった雑穀が注目されはじめている。

キヌアは精白米と比較してたんぱく質や脂質、食物繊維、ミネラル類が豊富。アミノ酸スコアも高いのが特徴だ。アメリカ航空宇宙局(NASA)が「21世紀の主要食になる」と発表したことも話題となった。

アマランサスはキヌアに匹敵するほど栄養価が高く、“スーパーグレイン”とも形容されている。海外セレブの間ではヘルシーフードとして注目を集め、日本でも瞬く間に浸透した。

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