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コロナで巣ごもり高齢者が急増、シニアの活力を取り戻す健食提案が加速(特集/アクティブシニアサポート)

日本の65歳以上は3,605万人で、高齢化率は過去最高の28.6%に達した。一方、要介護・要支援認定者数は659.3万人。健食の購入に意欲的なアクティブシニア人口は、約3,000万人と推計される。健食業界ではここ数年、アクティブシニアを対象に骨・筋肉サポートサプリの提案が進められてきた。そこにきての今回の新型コロナ騒動。巣ごもり高齢者のロコモ・サルコペニア・フレイル患者数の増加に対しては、多くの有識者から警鐘が鳴らされている。これを受け、健食メーカーではグルコサミン、大豆イソフラボン、HMB等を活用した機能性表示食品の開発が加速。今年3月から半年余りで50品以上の届出が行われている。

アクティブシニア人口、3,000 万人

少子高齢化の進む日本では、アクティブシニアをサポートする健康食品、化粧品の上市が活発だ。

アクティブシニアとは65歳以上で趣味や様々な活動、消費に意欲的なシニア層を指す。この層は時間的、経済的な余裕を持ち、新しい価値観をライフスタイルに取り入れることに抵抗がなく、スマホやインターネット等の電子端末を積極的に活用し、最新の健康・美容情報を収集することに余念がない。

総務省統計局の人口統計では、2020年4月時点の日本の総人口は1億2,593万人。その内65歳以上の人口は3,605万人で、総人口の約3割を占める。一方で、厚労省が今年7月に発表した介護保険事業状況報告によると、65歳以上の要介護認定者数は659.3万人。65歳以上人口から要介護認定者を差し引いたアクティブシニアの総数は約3,000万人となる。

人口のボリュームが大きく、経済的に余裕があるアクティブシニアの需要を獲得することは、あらゆる企業にとって大きなビジネスチャンスになっており、健食業界ではここ数年、アクティブシニア層向けの提案が活発化している。

グルコサミン、大豆イソフラボン、コンドロイチン、クレアチン、HMB、ビタミンD、ビタミンK2、コラーゲンペプチド、プロテオグリカン、アミノ酸、各種プロテインなど利用が拡大し、「骨・筋肉」関連の機能性表示食品の届出は186品(10月7日現在)。届出全体の6.3%に達し、今年3月から半年余りで50品以上増加した。

高齢者のサルコペニア・フレイル増に懸念

2020年は新型コロナの影響で、高齢者の運動不足が深刻化している。高齢者は若者に比べて筋肉量や筋力低下のスピードが速く、巣ごもりを続けた多くの高齢者がロコモやサルコペニア、フレイルに陥ることが危惧されており、アクティブシニアもその例外ではない。

国立長寿医療研究センターは65~84歳の高齢者1,600人を対象に身体活動量、運動実施状況について調査。コロナ感染拡大前後で1週間当たりの身体活動時間は、回答者の健康状態に関係なく平均して60分減少(約3 割)。意識的に運動を実施できた人は50%に留まった。

筑波大学大学院と新潟県見附市が今年4 月、60~80代の高齢者339人を対象に行った調査では、自粛生活の中で、健康状態が「よくない」「あまりよくない」と回答した人は全体の1割以上。健康状態の悪化を訴えた人は、自粛以前の5倍まで膨れ上がった。

インターネット調査会社のWHILLは今年8月、65歳以上の男女600人を対象にコロナ禍の外出・社会参加への影響についてWEBアンケートを実施した。その結果外出、社会との関わり合いが減ったと回答した人は66.2%、歩きづらさ感じている人は73.7%に達した。また、その影響として「身体に衰えを感じた」「楽しいと感じることが減った」「外出する気持ちがなくなった」の回答が4 割強に及んだ。

現在、全国のコロナ感染者数は1日当たり400人前後まで減少し、徐々に落ち着きを見せているが、重症化リスクの高い高齢者の警戒感は以前として根強い。東京都医師会の平川博之副会長は、9月17日の会見で、新型コロナを恐れる高齢者が過剰に自粛を続けることでフレイルが起きるリスクを指摘。「過度な自粛を生む思い込みや誤解による不安を軽減し、出かけたくなるように地域のかかりつけ医や専門職が後押しすることが必要だ」とコメントした。

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