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新型コロナ禍、温活ニーズ急伸(特集/冷え対策)

これからの季節、女性を中心に冷えに悩まされる人が増加し、冷え対策商材の市場は本格シーズンに突入する。ただ近年、冷え対策商材は秋・冬の季節商材から脱却し、もはや年中商材へと成長を遂げている。その背景にあるのが、健康・美容のために日常的に身体を温める「温活」というライフスタイルの定着だ。特に今年は、新型コロナウイルスの蔓延を受け、国民の健康意識が高まる中、温活で自己の免疫力や自然治癒力を高めようとする動きが活発化。巣ごもりや在宅勤務の増加、“コロナ鬱”やストレスへの対策もあって、入浴剤や温熱機器など関連商材の売れ行きが伸長している。

「温活」定着、HSPの認知度も上昇

現代人の多くはストレス過多の状況にあり、自律神経は交感神経側に偏重していることが多いと言われている。自律神経は中庸な状態こそ、理想的な健康状態とされる。

身体を温めることの最大のメリットは、「偏った自律神経を中庸に持っていく=自律神経バランスの調節する」ことと言われる。

ほかにも、身体を温めることは血行促進に伴う冷え症状の改善、深部体温上昇に伴う免疫力や自然治癒力、基礎代謝の向上、快眠、発汗に伴う体内に溜まった老廃物のデトックス作用、さらには肥満やセルライト、むくみ、シミ・シワ、髪のパサツキの改善――など、数え上げればきりがない。

また最近では、体内の「ヒートショックプロテイン(HSP)」を増やす働きにも注目されている。HSPとは、熱ショックタンパク質とも呼ばれ、入浴など全身加温によって体内に増加するタンパク質のこと。

HSPには傷付いた細胞の修復、ストレスから細胞を守る、白血球(リンパ球)の増加やNK細胞の活性化――など、様々な生理作用が確認されている。最近は、家庭で手軽に体内のHSPを増やせる入浴方法がメディアでも紹介されるなど、その認知度も徐々に高まりつつある。

新型コロナ禍、入浴剤など伸長

今年は温活サポート市場にとって追い風が吹いている。新型コロナウイルスの蔓延に伴う国民の健康意識の高まりが最大の要因だ。なかでも“免疫”がキーワードとなっている。

免疫賦活系のサプリメントや一般食品が軒並み売り上げを伸ばし、その流れはノンフーズ(非食品)分野にも波及している。

㈱True Dataが9 月に発表した今年8月のドラッグストアにおけるカテゴリ別伸び率ランキングでは、入浴剤が前年同期比で125.5%となっている。実際、五洲薬品など入浴剤メーカーの話でも、従来は春先から減少する入浴剤の需要が今年は夏場も好調を維持しているという。

背景には、新型コロナ禍で巣ごもりや在宅勤務が増えたことによる入浴機会の増加、“コロナ鬱”といった過度なストレスが深刻な問題となる中、免疫力アップやストレス解消を目的とした全身加温のニーズの高まりが挙げられる。

フジカの大野社長は「生体として十分温まることは、免疫力や自然治癒力のアップはもちろん、体内に摂り入れた栄養素のフル活用にも役立つなど、人間本来の“健康力”を高めることに繋がる。今回の新型コロナを機に、多くの人々が温活の本当の重要性に気付いたのではないか」と語る。

2,000億円市場、さらに右肩上がり

現在市場に流通する温活サポート商材は、家庭用医療機器や健康機器、入浴剤などの「ノンフーズ商材」と、ショウガや高麗人参、ヒハツなどの温感・血流促進に有効な食品素材を配合したサプリメントや機能性表示食品、一般加工食品などの「フーズ商材」がある。

厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、家庭用医療機器の2019年の市場規模は、国内出荷金額ベースで約613億円、浴用剤(薬用入浴剤)は約682億円。

また経済産業省の生産動態統計によると、2019年の浴用化粧品(ひげそり用を含む)の出荷金額は約112億円。ここに温感健康機器類や浴用装置類、温感衣料品類などを加えると、ノンフーズ分野だけでも優に1,500億円を超える。

一方、サプリメント分野では、本紙調査で高麗人参が約250億円、ショウガやニンニクなど血流改善素材が約300億円となり、温活サポート商材全体の市場規模は2,000億円以上と推計される(円グラフ)。

新型コロナを機に、温活実践者が増加することで、温活サポート市場のさらなる拡大に期待される。

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