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コロナに打ち克つ、注目素材が続々 シークヮーサー、県内外で脚光(特集/沖縄)

沖縄県内の健康食品出荷額は100億円台で推移していたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、成長にブレーキが掛かった。国内外から訪れる観光客が激減し、特に県内ビジネスは苦戦を強いられている。こうした中、自社商材における機能性データの拡充、インバウンドに依存しない販売チャネルの開拓、アジア圏を中心とした海外展開など、各社、反転攻勢に向けた取り組みを急ピッチに進めている。健康食品における沖縄独自の認証制度は認証商品が増え、年内には20品を超える見込み。機能性表示食品も県内事業者による受理が10社(15品)となった。アイテム別でみると、シークヮーサーの健康機能がTV番組で紹介され人気を呼んでいるほか、コロナ禍においてフコイダン、ウコン、琉球もろみ酢、クワンソウなどの県産素材も注目度が上昇している。

県内健食商材、我慢の年 反転攻勢の準備進める

新型コロナウイルスの感染拡大は沖縄県にも大きな影響を及ぼしている。県発表によると8月の入域観光客数は、前年同月比80%減の20万2,800人(外国客は5 ヵ月連続でゼロ)だった。2020年の入域観光客数は361万人(前年比64.5%減)になる見通しだという。

多くの観光客で賑わう那覇市のメインストリート・国際通りは、休業中の店舗も少なくなく、インバウンド型チェーンドラッグストアでは店舗撤退も出ている。県産品を取り扱う「わしたショップ」を運営する沖縄県物産公社では「県外店舗は7月中旬辺りから売上が回復し、前年比を超えているが、国際通り店は厳しい状況にある」という。

今回、各社における取材でも、「土産物屋、道の駅に卸している商品が伸び悩んでいる」「見学工場の一時休業もあり、物販が厳しい」といった声から、県内ビジネスが苦戦している様子がうかがえた。

一方、「県外OEMが多く、コロナの影響はほとんどない」「越境EC向け商品が伸びている」「通販チャネルの商品は好調」など明るいコメントも聞かれた。「機能性表示食品の開発に着手した」「生産農家と連携して新品種の開発を進めている」「工場の拡張計画に入った」など、反転攻勢に向け、急ピッチで準備する事業者も目立った。

独自の認証制度、20品間近 機能性表示食品も15品に

沖縄では、中国の医食同源の考えを受け、古くから「食はクスイムン(薬になるもの)」「ヌチグイ(命の薬)」という思想がある。伝統的な島菜野や果実、海藻などの農海産物を食してきたことが長寿を支えてきた要因だった。こうした沖縄の伝統食材の健康機能に対して、産官学がスクラムを組み、この数年でエビデンスデータが大幅に蓄積された。

さらに、健康食品のブランド化に向けた「WELLNESS OKINAWA JAPAN(WOJ)」認証制度が一昨年からスタート。①機能的価値、②情緒的価値、③安心・安全の3要素を“三拍子戦略”とし、外部有識者で構成される審査委員会が認証を行う制度。認定商品は、サプリメント、飲料、茶、ゼリー、スープなど剤形も広がり19品(10社)となった。

今年認定商品となったカネリョウ海藻のカップ入り味付けモズクは、大手総合スーパーをはじめ、小売店への採用件数が増加。同社では「客観的な審査に基づいた認定商品ということが評価され、バイヤーの反応は良い」という5月から販売を開始し、リニューアル前に比べ、売上は2 ケタ増で推移する。

WOJ事務局を務める沖縄県健康産業協議会・専門コーディネーターの照屋氏は、「沖縄の健康食品における良品選択の目印として定着させたい。年内には新たな認証商品も発表できる」と話す。また、認定制度について、わかりやすくまとめた解説書を作成中で、認定制度の認知拡大や、認定商品の販促活動用に活用していく。

機能性表示食品への取り組みも活発に。県内事業者の受理品は10社・15品。中小企業が多い沖縄では、事業者単独で機能性表示食品にチヤレンジするのは難しかったが、県を中心にサポート体制を強化。琉球もろみ酢(クエン酸)、青パパイヤ(GABA)、モズク(フコイダン)、ボタンボウフウ(ボタンボウフウ由来クロロゲン酸)などは、使用可能なSRを作成済み。県内事業者が届出に利用できる体制が整い、機能性表示食品の受理実績に繋がっている。

新知見で、シークヮ―サーが人気に フコイダン・うこん、コロナ禍で需要増

アイテム別でみると、ノビレチン、タンゲレチンなどを豊富に含むシークヮーサーの機能性研究が進み、注目度が増している。沖縄県農業協同組合は、清涼飲料水『中性脂肪が気になる方のシークヮーサー』が機能性表示食品として受理された。今月末から量販店中心販売を開始する。

また近年は、ヒト臨床試験で排尿障害や認知機能の改善効果が確認されている。昨年10月にはTV番組で、認知症の予防食品として沖縄産シークヮーサーが紹介され再ブレイク。わしたショップの県内外店舗ともに売れ筋上位に。ヒト臨床試験に携わる琉球大学教育学部・照屋俊明教授は「排尿、認知機能の改善で機能性表示食品に受理される可能性は十分にある」と話す。

海外需要が増す沖縄モズク由来フコイダンは、ベトナムをはじめアジアでの利用が拡大。昨年はフコイダンの原材料となるモズクが不作に見舞われたが、今年は豊作で供給面の不安は解消された。フコイダンや定番素材のウコンは、免疫に対する関心の高まりを背景に、受注増に繋がった事業者もみられる。天然発酵飲料の琉球もろみ酢も発酵食品人気から再注目されている。

このほか、アントシアニン高含有の黒ニンジンや、活力アップ、ロコモ対策が期待できるクーガ芋、青汁原料として利用が進むシマグワ(島桑)やモリンガ、健康機能の研究が進む黒糖・黒砂糖や塩、海洋資源を活用した微細藻類―― など、次なるヒットを予感させる沖縄発のスーパーフードも続々登場している。

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