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米国でカンナビノイド規制緩和の動き 国内ではCBD原料の値下げも(連載/話題追跡)

米国でCBD(カンナビジオール)の規制緩和の動きが広がっている。世界172の国と地域でテレビ放映される総合格闘技団体UFCは先月、CBDをはじめとする植物性カンナビノイドをドーピングリストから除外。米国農務省は、ヘンプ生産者に求めるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の濃度基準を1.0%まで引き上げ、サンプリング検査に用いるヘンプの収穫期限を緩和した。これにより米国でのヘンプ栽培量が安定化し、日本へ輸出される米国製CBD製品の価格が下落するとの予測も。実際に先月の健康博では、国内のCBDメーカーから原料の値下げを示唆する声が聞かれた。

米国最大の総合格闘技団体であるUFCは1 月15日、ドーピング成分リストを改定。大麻を由来とするCBDおよび植物性カンナビノイドが全てリストから除外された。

植物性カンナビノイドの1 つであり、興奮作用のあるTHCについては、選手が陽性反応を示した場合でもパフォーマンス向上を目的とし故意に使用した場合を除きドーピング違反とはみなさない。

UFCは裁定変更の理由として、尿検査におけるTHC濃度のバラつきを指摘し、「THCは油溶性のため一度、体内に摂取されると脂肪組織に蓄積され、血液循環の中に戻されることがある。そのため競技外での尿中レベルの数値には、大きなばらつきが出てしまうため、理想的な指標にはならない」としている。

一方で、アスリートの大麻使用を規制する方針は変わらず、「試合の数日前や数週間前ではなく、当日のTHCの数値を裁定の基準とする」と補足した。

米国では、2018年に農業法が改正され、THCが0.3%未満の麻を、産業用ヘンプとして栽培することが可能となった。それ以降、CBD市場が急速に拡大しポピュラーなCBDオイルのほか飲料、ガム、チョコレート、化粧品などが続々と登場した。

スポーツ分野でも抗炎症やストレスの緩和、睡眠の質改善などを目的にサプリメントの利用が進んでいた。今回CBDの使用を容認したUFCは、世界172の国と地域で視聴される人気番組だけに、その影響は米スポーツ界だけに留まらない。

こうした中、米国農務省(USDA)が1 月19日、産業用ヘンプの生産規則を緩和している。約5,900件のパブリックコメントに基づく新たな規則では、サンプリング検査用のヘンプを収穫日から30日以前に採取したもの(これまでは15日以内)とし、THCの濃度基準は1.0%未満に緩和された。

米業界紙NBJは、「米国内でのヘンプ生産がより安定化するとみられる」と報じており、日本へ輸出される米国製CBD製品についても価格の安定化が見込まれる。

実際に先月の健康博覧会に出展したCBDメーカーからは、「全体的に原料の値崩れが進んでいる」「原料供給から末端商品の販売や卸中心のビジネスに切り替えた」などの声も。CBDを単体抽出したアイソレート品の相場はキロ当たり約50万円で、昨夏から2~3割ほど下落が見られた。

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