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「ルネッサンスD」…ビタミンDの威力

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 AIFNの新春セミナーの演題はビタミンDであった。演者の1 人のタイトルは「The vitamin D Renaissance」。文化・芸術の復興運動にかけてビタミンDの再評価というような思いか。確かにビタミンDを知らない人はいないであろうが、その瞠目すべき新たな機能について熟知している人もまた少ないのではないか。カルシウムとの組み合わせで、骨折予防のビタミンぐらいの認識しかなかったので、聴講し驚いた。米国で所要量の格上げが行われ、EFSA(欧州食品安全機関)の厳しいヘルスクレームに残りそうな数少ない候補のビタミンD、と世界的に評価は急浮上。こうした社会情勢を睨んでの戦略セミナーであった。

 3 人の講師が、サプリメントの新時代を紹介したDシンポジウムは、やはり「ルネッサンスD」とでも呼ばなければならないほどに強烈なインパクトを与えてくれた。パーティーで挨拶に立った東大名誉教授の高橋迪雄氏は「1,000単位、2,000単位といっても、行政の対応はいつになるか分からない。せめて今日講演を聞かれた方々だけでも、健康に不可欠なビタミンDをおとり下さい」と呼びかけた。行政が動かなければ、これを理解した人々が自分の裁量で取ればよい。行政依存からも脱却しないと、TPP問題のように右往左往するだけで、先のない状況が生まれる。


 講演では医療費の削減効果として、「欧州の3 億6 千万の人々に2,000~3,000IU/日のビタミンDを与えた場合、年間で22兆円のヘルスケアコストの削減が期待できる」(DSMニュートリションのClaerhout氏)と説明した。葉酸やカルシウムなどと併せて、医療費問題に取り組む人々に聞かせたい課題ばかりである。
 また、満尾クリニックの満尾正氏も、自然のままで欠乏しているビタミンDの補給と安全性、がん(とりわけ乳がんや前立腺がん)やインフルエンザなどの予防医療としての機能について世界の疫学調査などのデーターを紹介、現代人に不足するビタミンであると警鐘を鳴らした。これに先立ち、高橋迪雄氏は人類学の視点からのダイナミックな歴史観と食事、ビタミンD欠乏とがんの関係などに言及した。知らないことのリスクを消費者に伝える責務がある。

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