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機能性食品開発のための知財戦略(14)
食品用途発明の最新報告〈2018年11月特許公報発行/公開分〉

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

機能性食品開発のための知財戦略(14)
食品用途発明の最新報告〈2018年11月特許公報発行/公開分〉
今号注目の機能性─スポーツニュートリションに関する用途発明
特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名 真徳

2.今号注目の機能性
スポーツニュートリションに関する用途発明
本連載2018 年12月号では、「筋肉サポート」に関する出願・権利化戦略を紹介した。
本号では、アスリート向け等、特に運動サポートに向けられた最新の成立特許を中心に掘り下げたい。

成立特許事例
特許第6431670号 味の素株式会社
【請求項1】下記の(1)〜(9)のアミノ酸を含み、当該(1)〜(9)のアミノ酸の総含有量に対する各アミノ酸の含有量のモル組成比が下記の数値範囲内である、筋肉疲労の回復促進用アミノ酸含有組成物。
(1)ロイシン 35〜66%
(2)イソロイシン 5.0〜15%
(3)バリン 5.0〜15%
(4)スレオニン 7.0〜14%
(5)リジン 8.0〜16%
(6)メチオニン 2.0〜10%
(7)ヒスチジン 0.1〜3.5%
(8)フェニルアラニン 2.5〜8.0%
(9)トリプトファン 0.1〜2.0%

請求項1では、特定のアミノ酸とそれらの特定の含有量による「筋肉疲労の回復促進」用途が規定されている

従属請求項5〜7では、筋肉疲労の回復促進が、それぞれ「筋肉痛の予防・改善」、「筋力低下の予防・改善」、「筋損傷の予防・改善」であることを限定し、用途を具体化している。

また、従属請求項2〜4では、それぞれ、「筋肉疲労が、筋損傷に起因する」点、「筋損傷が、運動後の筋損傷である」点、「運動後の筋損傷が、伸張性収縮運動後の筋損傷である」点に限定しており、順々に筋肉疲労の要因を掘り下げるような仕込みとなっている。「伸張性収縮運動」については、明細書において、筋肉が引き伸ばされながら筋力を発揮する運動と説明されている。

実施例の試験例1においては、請求項1の組成であるアミノ酸含有組成物A又は水を経口投与し、30分後に、伸張性収縮負荷を行い筋損傷を誘発させ、2時間後に、再び、アミノ酸含有組成物A又は水を経口投与した後、筋肉痛の評価を行っている。

伸張性収縮負荷は、ペントバルビタール麻酔下にて、ラットの総骨腓骨神経近傍に陰極、坐骨神経近傍に陽極を差込み、単収縮閾値の3倍の電流値にて50Hzで電気刺激を与えて1秒間筋収縮させ、同時に、筋収縮と逆方向へ足をモーターで牽引し、その後3秒間の休ませる運動を1セットとし、これを500セット繰り返すことにより行っている。

筋肉痛の評価は、筋肉の圧痛閾値の経時変化を観察することにより行っている。

上述の試験例1における筋肉痛の改善効果の他、試験例3では、筋損傷の回復効果、試験例4では、筋力の回復促進効果が、ラットを用いた試験により実証されている。

このように、同じ筋肉サポート効果ではあるが、観点を変えて評価系を組むことにより、用途の具体化や要因を掘り下げられることに繋がっている。その結果、商品開発上、魅力的なヘルスクレームを権利として抑えることに繋がる点が参考となる。

―以下、続きは月刊『食品と開発』2月号にてご覧ください。
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