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機能性表示食品、受理品の分析状況など検証 健康被害の報告基準を提示 -消費者庁-

消費者庁は先月22日、委託事業として昨年度に実施した「機能性表示食品の届出後における分析実施状況及び健康被害の情報収集等に関する調査・検証事業」報告書を公表、企業が消費者から寄せられた情報の扱いに苦慮している実態が浮かび上がった。報告書ではこうした実態を踏まえて、消費者庁に健康被害を報告するための基準を指し示した。

事業は、企業の届出後の取り組み状況を明らかにするとともに、健康被害情報を報告するためにガイドラインに示すべき内容を検討する基礎資料とするために実施。委託を受けたみずほ情報総研が有識者ワーキンググループを設置してとりまとめた。調査票などを含めて約140ページのボリュームで、(1)受理品の分析実施状況、(2)健康被害の情報収集―― に関する2部で構成。調査協力企業は掲載を希望しない企業を除き、一覧として社名を掲載した。

(1)では、17年9 月末までに届出された1,124品を対象にアンケートを実施、回答が得られた250社の953品について分析。企業規模は、中小企業が56.0%で、大企業が31.2%、小規模企業が12.4%だった。953品のうち、「販売中」は6割で、3割は販売実績がなかった。販売実績があるうち、機能性関与成分の定量・定性試験の実施頻度は、「製品ロットごとに1回」が28.9%、「一定期間ごとに1 回」が23.1%、「原料ロットごとに1回」が10.7%。「分析していない(届出時のみ実施)」は6.8%だった。崩壊性試験等は、「製品ロットごとに1回」が75.0%を占めた。

(2)では、同じく17年9月末までに届出された1,124品が対象。244社から回答を得た。健康被害情報の収集等で困っていることを聞いたところ、「詳しい話が聞けないことがある」「返品や定期購入の解約の理由と見受けられる場合が多々ある」など、消費者からの情報収集の難しさを挙げる声が目立った。虚偽と思われる体調不良を申し出る消費者もあり、見極めに苦慮しているとの意見もあった。

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報告書では、「消費者庁への報告には一定の基準を設けることが必要」と指摘。「医療の専門家ではない届出者が因果関係や重篤度の評価を行うことへの懸念や抵抗感を示す意見が多く挙げられた」としている。

曖昧な情報や食品と明らかに関係のない体調不良まで報告することは、「届出者の負担を増大させるだけでなく、かえって重要な情報の見落としを招く危険性もある」として、望ましい報告基準を提示。“因果関係”について、A(情報不足・評価不能)、B(関連なし)、C(可能性がある)、D(可能性がより強くある)、E(確からしい)、F(非常に確からしい)―― の6段階に分けて、報告基準は「因果関係がD以上と判定された場合」と提案した。“重篤度”に関しては、健康被害内容の大半は医療機関での治療を要さない軽微な症状と推察。重篤度について「医療機関による治療(30日以内)を受ける程度の、軽度な健康被害と考えらえる」以上と判定された場合を報告基準とすべきとした。この「因果関係」「重篤度」の基準のうちどちらか一方でも該当すれば「報告すべき」としている。

消費者庁は報告書を受けて、「必要に応じてガイドライン改正やQ&Aへの反映を検討していく」(食品表示企画課)としている。

本記事は「健康産業新聞 1651号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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