特集

特集【α-GPC/HMB】“α-GPC”、多様な機能性で認知拡大へ

2009年食薬区分改正により食品としての利用が開始されたα-GPCとHMB-Ca。国内での流通スタートから今年で10年目を迎え、流通量を着実に増やしている。α-GPCは、米国ではコリン補給剤として日常的に摂取されているメジャー成分。日々の健康管理という観点から国内でもコリン摂取の重要性が徐々に認識されはじめており、今後ますます関心が高まると予想される。また、脳機能改善や美肌作用、筋肉修復、筋力増加、判断力の向上などの機能性が期待でき、最近ではスポーツシーンにおいても有効な素材として注目が集まる。一方HMBは、運動後の筋組織ダメージの軽減や、筋重量の増加、体脂肪燃焼作用などの機能性からスポーツニュートリションやロコモ・サルコペニア対策として商品への配合が進む。昨年、受理済みの機能性表示食品に「薬機法抵触の疑義がある」と消費者庁が指摘し撤回騒動が起きたが、現在では再届出した商品も新たに受理されており、売上の回復に向け、各社巻き返しを図っている。

■認知機能改善、美肌、スポーツ向けで脚光健康長寿のα-GPCα-GPC
(グリセロホスホコリン)は母乳や体内に含まれる栄養成分で、天然成分のコリン誘導体としても知られている。研究では、成長ホルモン分泌作用や肝機能障害改善、血圧低下、ストレスホルモン分泌抑制作用があることがわかっている。海外ではコリン補給剤としての摂取も進んでおり、米国では1998年に米国医学研究所の食品栄養委員会(FASEB)がコリンを必須栄養素として指定。一日の適正摂取量が設定されており、体内で合成が難しいコリンをサプリメントで摂取する習慣が定着している。

コリンは、神経伝達物質のアセチルコリンの前駆物質で、代謝調節、細胞の機能維持に欠かせない栄養素。コリン不足は、だるさやめまい、免疫機能低下、消化管機能異常、肝臓解毒能低下など種々の悪影響を及ぼすことがわかっている。国内でもコリン摂取の重要性は徐々に認識されており、100歳を超える現役医師として活躍した故日野原重明氏が、ホスファチジルコリン(大豆レシチン)を毎日摂取していると報じられたことも記憶に新しい。α-GPCは、少ない摂取量で効率良くコリンを補給できる特長があり、同じくコリン補給剤のホスファチジルコリン(大豆レシチン)と比較しても1/4の摂取量で済むという。

また、機能性研究では認知機能改善作用を有することもわかっており、こうした背景から健康長寿のカギを握る重要成分として認識が高まっている。一方で、スポーツニュートリション用途での引き合いも出てきている。筋肉の修復亢進作用が確認されているほか、脂肪燃焼を促進するケトン体を血中に放出する作用などもわかっており、脂肪燃焼促進素剤としての認知も進みつつある。

国内リン脂質原料のリーディングカンパニーの日油では、「認知機能改善、美肌、スポーツニュートリションと幅広いテーマで引き合いが出てきている」としている。一般的にα-GPCは吸湿性が高く、錠剤化が難しいとされているが、日油では独自の油脂コーティング技術を用いた粉末品を開発。打錠性を高めたことでメーカーからの引き合いも増加傾向にあるという。

海外品では、60年以上にわたって高純度リン脂質原料を販売する老舗メーカー、独リポイド社の原料をエイチ・ホルスタインが取り扱う。α-GPCを98%以上という高純度で規格化した原料を供給しており、non-GMO規格の新原料「ヒマワリ由来のα-GPC」もラインアップに加え、積極的な提案を進めている。

本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

 <関連記事>

・特集【EBS】治 療 か ら 予 防 へ の シ フ ト で拡大するEBS市場
・特集【二日酔い・飲酒対策】新 た な 素 材 、新 商 品 も 続 々 登 場 -ハウ ス 、ゼ リ ア の 2 強 は 変 わ ら ず-
・特集【胃腸サポート食品】機能性研究・素材提案が活発-胃腸トラブル、現代病の代表格に-
・特集【女性サポート素材】女 性 特 有 の 悩 み に 、多角的アプローチ進む
・特集【愛知県】付加価値の高い技術力で健康産業に新風 -41 年連続日本一の〝ものづくり王国-

■「受託製造企業ガイドブック2017年版」 好評販売中■

受託製造企業ガイドブック2017健康産業新聞a2012年版を全面改定し、「機能性表示食品への対応」を追加。各社の概要、特色、業況、連絡先がこの一冊に。健康食品・化粧品の製造、各種試験・分析依頼、原料調達などに、ぜひ本書をご活用ください。⇒詳細はこちら!

 

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP