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連載【話題追跡】31 年振り商業捕鯨再開 バレニンなど機能性成分の研究開発に期待

今月1日に日本の商業捕鯨が31年振りに再開された。釧路では早速ミンククジラが2頭水揚げされ、新聞やテレビを賑わせた。商業捕鯨が再開されたことで鯨肉の食用利用拡大に加え、健康食品への応用にも関心が寄せられている。鯨には抗疲労成分のバレニンが豊富に含まれており、今後の研究次第では新たな成分が開発される可能性も。日本人と馴染みの深い鯨の高度利用に注目が集まる

■1988年以来31年ぶりとなる商業捕鯨が令和元年に再開
日本の領海と排他的経済水域に限定し、ミンク、ニタリ、イワシクジラを捕獲する。日本での捕鯨の歴史は古く、はじまりは12世紀にまでさかのぼる。1600年代には和歌山県太地町で組織的な捕鯨を行う「鯨組」が結成されたのをキッカケに、以降全国で捕鯨技術が普及。鯨は日本人の栄養源として定着し、独自の鯨食文化を築いてきた。一方で1930年代より、鯨類資源の減少を防ぐ目的で、世界的に捕鯨規制の流れに。国際条約や協定が締結され、1948年には国際捕鯨委員会(IWC)が設置。日本も1951年に加盟したが、捕鯨は続けていた。潮向きが変わったのは1982年。捕鯨国が商業捕鯨を一時的に停止するという旨の「商業捕鯨モラトリアム」をIWCが採択すると、日本も商業捕鯨の一時停止を余儀なくされた。

1988年より調査捕鯨という形で捕鯨を続けてきたが、IWCの反捕鯨指針の意向は年々強くなり、商業捕鯨再開の見通しは未だ立っていない。日本ではこうした背景に加え、30年にわたる捕鯨調査により「鯨類資源を枯渇させることなく、持続的利用が可能である」と判断。さらに、「過剰保護による鯨類の増加に伴う他の漁業資源への悪影響」、「捕鯨技術の継承」、「鯨食文化の育成」などの観点からIWC脱退を決定し、商業捕鯨に踏み切ったというのが今回の経緯だ。

■独自路線を歩み始めた日本だが、商業捕鯨再開で注目されるのが鯨食の普及について
日本は他国と比較し鯨食文化が根付いているとは言え、近代の食文化をみると鯨は縁遠い食材となってしまっている。世界的に捕鯨規制が強まる風潮もあいまって、イメージの回復や鯨肉の有用性をいかにアピールするかがキーとなる。鯨肉は、「高タンパク」「低脂肪」「低カロリー」と三拍子揃ったヘルシー食材で、健康志向が強まる近年の需要に充分応えられる可能性をつ。

機能性成分については、2006年に鯨肉にイミダゾールジペプチドの「バレニン」が豊富に含まれることが確認され、機能性研究では抗疲労作用やアレルギー症状の改善作用、認知症改善作用なども認められている。また、鯨から取れる油脂にはEPAやDHAが豊富に含まれており、医薬品や健康食品原料としての利用も期待できるほか、心臓由来の成分はワクチン培養の培地として使用されているケースもあり、“鯨は捨てる所がない”を体現している。

こうした鯨の高度利用の取り組みは、商業捕鯨再開によってさらに促進されると予想される。これまで調査捕鯨を行ってきた共同船舶では「鯨の利用価値を高める点でも、機能性成分の開発に注力していきたい」としており、周辺事業の活性化も含めて今後の動向に注目が集まる。

本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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