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特集【注目の人参素材】サプリや一般食品など多用途で提案進む

人参素材には250億円市場を形成する高麗人参を筆頭に、田七人参、アメリカ人参、カンカなどが流通。市場をけん引する高麗人参では中高年層に滋養強壮・疲労回復訴求、女性層に温活サポート・アンチエイジング・美容訴求の商品などが定着している。近年は若年層向けにエナジー系ドリンクでの採用も進むなど、幅広い層で需要が増えている。原料メーカー各社は、発酵、熟成、膨化といった加工方法や、生産地、栽培方法などで差別化を図る。

■高麗人参、韓国からの輸入量増加エナジードリンクでの採用定番化

「滋養強壮」「疲労回復」訴求の定番素材であり、豊富な食経験とエビデンスを持つ高麗人参。従来のターゲット層である中高年層からの需要に加え、近年ではエナジー系ドリンクをはじめとする清涼飲料水で需要が増加。大手メーカーをはじめ、トップバリュなどのPB品でも採用、定番素材としての地位を確立し、若年層にもターゲットを広げている。新商品での採用も活発で、今月には「内側からのパワーと持続力のブースト」をコンセプトに高麗人参、紅参、シベリア人参エキスを配合した新商品『リアルゴールドドラゴンブースト』(コカコーラシステム)が上市される予定だ。高麗人参は朝鮮半島を原産地とし、中国東北部やロシア沿海州にかけて自生するウコギ科の多年草植物。

主な原産国である韓国からの輸入量は677.5t(2018年)輸入金額は32837千ドル(同)であり、2017年比で約20%増加、2019年上半期についても前年同期に比べて増加している(韓国農水産食品流通公社調べ)。日本における韓国農水産物の貿易振興活動を手掛ける韓国政府機関・韓国農水産食品流通公社では、2019年下半期について「高麗人参は気候が寒くなるにつれ販売量が増加する傾向にあるため下半期、特に冬の消費は増加する」と予測としている。

一方、国産高麗人参の本格供給に乗り出す企業も。農業生産法人水杜の郷では薬用人参として高麗人参と西洋人参の栽培を進めており、来秋にも本格供給を開始する予定だ。国産の安全・安心な薬用人参として期待を集めており、既に国内外の健康食品、化粧品メーカーなどから引き合いもあるという。

高麗人参は加工方法により「水参」「白参」「紅参」「黒参」に分類され、健康食品では主に根部分と果実・蕾部分が用いられている。「水参」は収穫後、加工していない状態のもので「生参」とも呼ばれる。「白参」は主に4~5年根の水参を原材料に、表皮を剥ぐか、そのまま乾燥させたもの。「紅参」は、一般的に6 年根の水参を厳選して、皮を剥かない状態で蒸したもので、10年以上の長期保管が可能。6 年根は人参のなかで、総サポニン数(37種)が多いことが知られている。「黒参」は、蒸し・乾燥工程を9 回繰り返すことで、サポニン高含有化に加え、特有のサポニンを含むことが特長だ。

また、サポニンの種類が根茎とは異なるオタネニンジンの果実「ジンセンベリー」にも注目が集まっている。「ジンセンベリー」は人参の一生で一度しか実らない「希少な果実」として知られ、そのストーリー性も評価されている。サプリメント原料では、紅参の粉末品・エキス品を中心に、「発酵」「熟成「膨化」「低温真空乾燥」などの工程により、有効成分ジンセノサイドやサポニン代謝物であるコンパウンドKを高含有化させた高付加価値原料の提案が進む。エビデンスの構築も活発で、認知症対策、若年層向け学習能力向上、血流改善を介した温活サポート、女性向けアンチエイジングなど、多岐にわたる機能性研究が報告されている。

 

本記事は「健康産業新聞 1677号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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