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特集【たんぱく食品】“たんぱく質”摂取目標を引き上げ  厚労省、低栄養・フレイル予防で

筋肉をはじめ、髪の毛や骨、皮膚など、人体を構成する材料となるたんぱく質。今年4月に運用する「日本人の食事摂取基準2020」は、団塊世代が75歳以上となる“2025年問題”や高齢者人口のピークを迎える“2042年問題”を見据えた内容に。低栄養やフレイル予防の観点から、50歳以上の目標量下限が引き上げられた。昨今ではたんぱく質の健康機能性をテーマにしたテレビ番組が放映されるなど、良質なたんぱく質を豊富に含む高野豆腐やおからパウダー、大豆加工品、かまぼこ等が話題に。国内における肉食摂取量増加を受け、脂質の少ない大豆たんぱくや魚肉たんぱくへの注目度が一気に高まっている。市場では「かけるだけ」「混ぜるだけ」「電子レンジで温めるだけ」といった簡便性を訴求した一般加工食品が流通。プロテインパウダーにとどまらない新たな“たんぱく食品”市場を形成している。

■「日本人の食事摂取基準」改定超高齢化社会を見据えた策定に

日本は世界に例のないスピードで少子高齢化に突き進んでいる。内閣府が公表した令和元年版「高齢社会白書」によると、日本の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は28.1%に。2065年には、約2.6人に1 人が65歳以上、約3.9人に1 人が75歳以上の超高齢化社会になると推計している。日本の高齢化率は2015年に世界で最も高い高齢化率(26.6%)に達し、今後も急速に高齢化が進むと見込まれている。

今年4 月に運用を開始する「日本人の食事摂取基準2020」(厚生労働省)は、こうした高齢化社会を見据え、低栄養やフレイル予防を考慮した策定に。50歳以上の“たんぱく質”摂取目標量下限の見直しや年齢区分の変更が行われた。65歳以上では、総エネルギー量に占めるべきたんぱく質由来エネルギー量の割合(%エネルギー)「15%エネルギー」に。2015年版の13%エネルギーと比較して2 ポイントの引き上げとなった。脚注には、「必要エネルギー摂取量が低い者は下限が推奨量を下回る場合があり得る」としたうえで、「この場合でも、下限は推奨量以上とすることが望ましい」と留意事項も追記。

下限が推奨量を下回った場合、推奨量である「男性・60g/日、女性・50g/日」の摂取が望ましいとした。年齢区分の改定では、きめ細かな栄養施策を推進する観点から「50~64歳」「65~74歳」「75歳以上」という新たな区分も設置。従来の区分「50~69歳」「70歳以上」よりも細かな区分となった。

■増加する肉食摂取低脂肪×高たんぱく食品に注目

厚生労働省が1 月に発表した国民健康栄養調査(平成30年版)によると、たんぱく質の平均摂取量は70.4g(1 歳以上、男女計)となった。平成7 年度の81.5gをピークに摂取量は減少傾向に。平成22年度は67.3gにまで落ち込んだ。その後は回復基調にあるものの、平成30年はピーク時に比べ11.1gも低い水準にとどまっている。たんぱく質の主たる摂取源は肉や魚、大豆製品が多い。肉類摂取量は平成元年の75.2gに対し、平成30年は104.5gとなった。平成の3日本年間に38.9%も増加している。一方で魚介類摂取量は平成元年の96.2gに対し、平成30年は約32%減の65.1gに。豆類摂取量も約8 % の減少傾向をたどり、68.1g(平成元年)から62.9g(平成30年)に転じている。

近年の日本人の食生活は欧米化が進み、魚介類や豆類などのたんぱく質摂取量が減少傾向にある。健康的な食生活を評価する指標は、三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)の「エネルギー産生栄養素バランス」が知られている。この年次推移をみると、脂肪エネルギー比率は昭和40年の14.8%に対し、平成30年は13.5ポイント増の28.3%に。摂取エネルギーに占める脂質割合が増加傾向を示している。高脂肪の肉類摂取量増加は、“脂質の過剰摂取”による生活習慣病のリスクにつながりかねないことから、肉類への過度な依存を抑えたたんぱく質摂取の必要性が認識されはじめている。昨今では脂質の少ない“大豆たんぱく”や“魚肉たんぱく”の健康機能性が各メディアによって紹介されるなど、高たんぱく・低脂肪のたんぱく食品に注目が集まっている。

本記事の続きは「健康産業新聞1687号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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