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特集【水素】今期6割が増収を見込むも…新型コロナで海外取引、国内消費マインド低下に懸念

昨年、3年ぶりの市場回復を果たした水素商材市場。本紙が今回、2020年上期の市場動向について調査した結果、取り扱いアイテムによる二極化傾向が見られた。明るい材料としては、昨年市場を押し上げた水素ガス吸入器や水素化粧品類、業務用水素水サーバーが好調を維持している点、さらに水素商材市場で最もボリュームの大きい水素水周りの商材で、一部回復が見られた点など。一方、新型コロナウイルスの影響でイン・アウトバウンドが失速。約8割の企業が海外取引を行っている中、市場の本格回復に水を挿さないかが懸念される。

■水素ガス吸入器が台頭、健康・美容・スポーツ分野で利用進む

本紙では今回、水素商材の主要メーカーを対象に訪問取材およびアンケート調査を実施。37社から回答を得た。2020年上期の売上高が前年同期比を上回った企業は39%、下回った企業は43%。なかでも増収企業は全て前年同期比2 ケタ増に対し、減収企業の9 割が2 ケタ減と、取り扱いアイテムによって二極化の傾向が見られた。今年上期に好調だったアイテムは、昨年の市場回復に貢献した水素ガス吸入器、水素ヘアトリートメントなどの水素化粧品類および、その製造に欠かせない水素発生原料、業務用水素水サーバーなど。水素ガス吸入器は、統合医療を実践するクリニックで治療サポートとして導入が進んでいるほか、治療院や施術院、エステサロンやリラクゼーションサロンなどでは、プラスアルファの収益を上げる付帯サービスとして導入されている。またアスリートや芸能人への普及が進んでおり、彼らが発信するSNSを通じて個人ユーザーも徐々に増加している。家庭用医療機器の業界団体が始めた一定の有用性や安全性、製品の品質を第三者機関が審査し、認定する「健康増進機器認定制度」を活用し、健康増進機器に認定された製品も誕生している。医療分野では、慶應義塾大学病院が「院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法」として、2016年に厚生労働省から「先進医療B」に認定されたことが知られている。中国では先頃、水素ガス吸入器が医療機器に認定され、新型コロナウイルスによる肺炎の治療に用いられているとの情報も。日本では水素ガス吸入器は医療機器ではないものの、水素ガス吸入療法の第一線で活躍する慶應義塾大学医学部の佐野元昭准教授が今回、本紙に緊急提言を寄せ、「日本でも水素ガス吸入器を新型コロナウイルス肺炎の重症化予防に活用するべき」との見解を示し、今こそ企業と医療機関がコンソーシアムを組むべきだと語った。

■化粧品類や業務用サーバー好調、水素水周りにも回復の兆し

水素ヘアトリートメントは、ヘアサロン業界で躍進している。昨年、有名人が出演するTV番組で導入サロンが取り上げられたのを機に、メーカー各社には引き合いが相次いだ。現在業界では3 ~ 4 ブランドがしのぎを削っている状況で、さらに新規参入をうかがう企業も数多く見られる。関係者の話では、現在業界では、髪や頭皮の抗酸化がトレンドとなっており、その急先鋒として水素に注目するサロンやディーラーが増えているとのこと。水素トリートメントを提供する“美髪サロン”と呼ばれる新業態も生まれているという。さらに一般ユーザー向けの水素入浴料や水素フェイスマスクなどの水素化粧品類も堅調で、これら製品に欠かせない水素発生剤の原料メーカーにもバルク供給やOEM依頼が相次いでいるという。業務用水素水サーバーは、フィットネスクラブやスポーツジム、ホットヨガ施設などを中心に導入が進んでいる。なかでも近年は、小型店舗が急速に増加にしており、それに比例する形で業務用サーバーの導入も加速している。このほか今回の取材では、家庭用の水素水サーバーや水素水生成器にも一部回復の兆しが見られた。水素商材の中で最も市場ボリュームが大きい水素水周りの商材の復調は、2020年通期の水素商材市場がV字回復する上でも明るい材料となる。

本記事の続きは「健康産業新聞1690号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら

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