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特集【機能性糖質・甘味料】低GIや低糖質ブームで市場活性化 機能性表示導入進む

消費者の生活習慣病予防やダイエットニーズを背景に、機能性糖質・甘味料の市場が拡大している。市場にはエリスリトール、スクラロース、ネオテーム、オリゴ糖、希少糖、アガベシロップなど特色ある機能性糖質・甘味料が流通。近年のロカボ食品の台頭による低GIや低糖質ブーム、減塩食品におけるエンハンスやマスキングなど、機能性糖質や甘味料の用途が多様化している。昨年は、天然由来甘味料を機能性関与成分とした、初の機能性表示食品が受理されるなど、各メーカーの市場開拓の動きは一層活発になっている。

■機能性表示、受理進む

2018年の機能性表示食品の届出ガイドラン改正を機に、新たな対象成分として追加された「糖類・糖質」。「糖質」では、キシリトール、エリスリトール、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)、「糖類」では、L-アラビノース、パラチノース、ラクチュロースが対象成分となっている。これらの対象成分はトクホでの採用実績も多く、「腸内のビフィズス菌を適正に増やし、おなかの調子を良好に保つ」(フラクトオリゴ等)、「砂糖の消化・吸収をおだやかにする」(L-アラビノース)、などの表示が許可されている。昨年は「糖質・糖類」として初となる、天然由来甘味料の機能性表示食品が登場。機能性関与成分は、単糖類に分類される「希少糖(プシコース、ソルボース、タガトース、アロース)」で、表示内容は「本品は希少糖含有シロップ由来の希少糖(プシコース、ソルボース、タガトース、アロース)を含むため、砂糖よりも摂取後の血糖上昇が緩やかな低GI甘味料です」。届出企業の松谷化学工業は、研究レビューを作成し、希少糖含有シロップを使った機能性表示食品の開発を食品企業に提案するほか、メキシコにD-プシコース専用工場を竣工し海外展開にも力を入れている。また三井製糖は、食後の血糖値の上昇を抑える機能性表示食品として、二糖類に分類される「パラチノース」を関与成分とする加工食品の販売を開始した。最近では、研究機関における希少糖研究も進展をみせている。今年の「希少糖の最新研究セミナー」で、香川大学教授の徳田雅明氏は、「ブルネイ、タイ、フロリダの各国でヒトを対象に行ったD-プシコース摂取による血糖値上昇抑制試験では、いずれの場合も効果があることが判明している」と発表。神戸大学客員教授の矢田俊彦氏は、「希少糖の一つであるD-アルロースは、消化管から出るホルモンであるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の分泌を促進させることにより、摂食抑制、インスリン分泌量・耐糖能改善作用の向上により、糖尿病改善が期待できる」と述べている。また希少糖は、米国食品医薬品局(FDA)がプシコースを「糖類」分類から除外したことを機に、世界展開を広げており、希少糖普及協会の担当者は「海外での需要拡大に加え、機能性表示食品としての認知が進むことにより、国内での希少糖の普及が期待される」と語る。

■糖類オフ・ゼロ市場は5,000億円超

機能性糖質・甘味料の消費量が最も大きい食品形態の1 つは清涼飲料。富士経済の調査によると、糖類オフ・ゼロを訴求した製品の2019年市場見込は、5,991億円(前年比1.9%増)。飲料が市場の6 割、アルコール飲料が3 割弱を占め、清涼飲料カテゴリーでは、自然甘味料を取り入れた、甘さ控えめミルクティーなど、消費者の甘さ離れに対応した商品の投入が相次いでいるという。一方、機能性飲料カテゴリーでは、シュガーレス、カロリーオフ、低GI、乳酸菌類などの他要素と組み合わせた商品展開が拡大。乳酸菌飲料、プロテイン飲料、エナジードリンク飲料での機能性糖質・甘味料の採用が進んでいる。中でも乳酸菌飲料では、プロバイオティクスの増殖に寄与する食品成分の一つとして知られるガラクトオリゴ糖、ラクチュロースをはじめ、ステビア、希少糖、アセファムK、スクラロースなどが幅広く利用されている。また最近では、口栓付パウチゼリーの新製品開発の増加に伴い、各販売メーカーは飲みやすさに加え、機能性糖質・甘味料による味質改善など幅広い取組をみせている。

 

本記事の続きは「健康産業新聞1690号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら

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