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特集【殺菌乳酸菌】新型コロナ対策で免疫に関心、乳酸菌ブーム続く メンタルヘルス領域での展開にも期待

中国武漢に端を発した新型コロナウイルスの感染拡大。感染者は世界中で900万人を超え、世界規模で人々の健康を脅かし続けている。新型コロナウイルス感染対策で免疫への関心が高まり“免疫強化”は今や世界共通課題となっている。白羽の矢が立ったのが健康食品やサプリメント。米国業界紙NBJのレポートでは、免疫や健康維持に対する意識が高まったといい、サプリメント市場は500億ドルを突破すると予想。国内でも連日免疫に関する情報発信が行われ、関連サプリメントは売上増加傾向にある。そのエース格ともいえるのが乳酸菌だ。本紙が6月に実施した健康食品受託メーカーへのアンケート調査では、上半期の人気素材トップにランクし、2位に大差をつける格好となった。なかでも免疫に対する有効性が知られる殺菌乳酸菌への関心は年々高まっており、さらなる市場拡大が見込まれている。

■ コロナ感染対策で再び脚光

 腸内フローラへの関心から、健康素材としてのイメージが定着した乳酸菌。機能性ヨーグルトの爆発的ヒットにより、ビフィズス菌や乳酸菌の摂取気運は年々高まっている。配合商品も従来のヨーグルトや乳酸菌飲料を中心とした展開から、幅広い加工食品や外食メニューにも浸透し、いまでは「乳酸菌を配合していない商品はない」と言っても過言ではない状態だ。この一大ブームの立役者といえるのが殺菌乳酸菌の存在。

 殺菌乳酸菌は、生きた乳酸菌を加熱殺菌処理して加工したもので、生菌と異なり食品製造時に工場汚染やコンタミネーションリスクが低いという利点を持つ。そのため、幅広い食品工場で取り扱いが可能で、納豆菌のような他の菌類との組み合わせるケースにおいても菌そのものに影響を与えないため、配合食品を選ばない点が人気の要因となっている。

 また、商品化した後の品質保持についても、生菌の場合はチルド管理が必要となるが(粉末化したサプリ等は除く)、殺菌処理を行うことで常温管理、常温流通が可能になるなどのメリットがある。こうした取り回しの良さが殺菌菌体の最大の特長といえる。

 同時に殺菌菌体によるさまざまな機能性が明らかにされてきたこともブームを後押しした。乳酸菌の代表的な機能である整腸作用に加え、抗アレルギーをはじめとした免疫機能への作用、さらには抗メタボ作用、口腔環境改善、肌の保湿などその知見は多岐にわたる。これまでの「生きた乳酸菌やビフィズス菌が良い」という漠然とした解釈から、「生きていても死んでいても、機能についてはその菌に依存する」という解釈に移行しつつある。

 なかでも殺菌菌体が持つ免疫領域での機能性については、現在世界規模で蔓延する新型コロナウイルスへの対策の一環として再び脚光を浴びている。今年4 月に放映されたテレビ番組「林修の今でしょ!講座」では、免疫力を上げる最強の発酵食品と題し、ヨーグルトやキムチに含まれる乳酸菌が紹介された。注目は殺菌乳酸菌について取り上げたことだ。日本獣医生命科学大学教授の戸塚護氏が「死んだ乳酸菌に免疫力をアップさせる働きがある」と説明した。

 もちろん、現行のトクホや機能性表示食品制度では「免疫」に係る表示は認められておらず、ましてやコロナと関連付けるような表現や売り方はご法度だ。ただ、乳酸菌を扱うメーカー各社による機能性研究の推進により、こうした認知が着実に広まっている。

■ OEM人気素材トップ、機能性表示も増加

 今年6 月に全国の健康食品受託製造企業188社を対象に本紙が実施した調査では、上半期の人気受注素材に乳酸菌が4 年連続トップとなり、乳酸菌ブームが継続していることを裏付けた。注目すべきは得票数で、32票を獲得。前回調査の倍となり、乳酸菌ブームに加え、コロナによるニーズ再燃が影響しているものと思われる。

 また、殺菌乳酸菌を関与成分とした機能性表示食品も増加傾向に。現在…

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