特集

【ポストバイオティクス(殺菌菌体・代謝物)】世界からも脚光、「ポストバイオティクス」認知広がる

加工特性の良さからあらゆる食品に利用されるようになった殺菌乳酸菌。生菌と異なり管理が容易(菌数維持が不要)でコンタミリスクが少ないとして国内外で利用が広がっている。また、生菌同様整腸作用をはじめ、抗メタボ、肌への有効に加え、免疫機能へ作用など、殺菌体特有の作用メカニズムも評価されており、機能性表示食品では、「プラズマ乳酸菌」や「L-92乳酸菌」など、“免疫機能の維持”をテーマにした受理品が大きな話題を呼んだ。先月6月24日には、東洋新薬が届出していた「CRL1505乳酸菌」を関与成分とした商品が新たに免疫機能の維持を表示する機能性表示食品として受理された。免疫表示対応の受理品が増加したことで、今後の市場拡大に期待がかかる。一方で、近年では菌が代謝する短鎖脂肪酸をはじめとした代謝物にも関心が寄せられている。海外ではサプリメントに「POSTBIOTICS」(ポストバイオティクス)を表記した商品の流通が増えるなど、注目のカテゴリーだ。

世界に広がるポストバイオティクス、パラプロバイオティクス

 殺菌乳酸菌は、培養した乳酸菌やビフィズス菌などの有用菌を加熱殺菌処理によって加工したもので死菌体とも呼ばれる。殺菌によるメリットは、乳酸菌の品質を一定にすることで原料の安定化が図れるほか、菌を高密度化させることで少量の摂取で多くの菌数を摂取できる点などがある。生菌と異なり胃酸の影響を受けにくい点も利点。製造における制約もほとんどなく、焼き物など高温の熱を加える工程にも強い。また、製造現場においてもコンタミリスクを減らすことができ、その取り回しの良さから健康食品や加工食品をはじめ、中食、外食産業でも広く使われるようになった。
 機能面では、培養時に菌体活性が最も活発になるタイミングで殺菌処理を行うことで、その菌株が持つ機能性を余すことなく発揮させることができるのも殺菌原料ならでは。殺菌体の歴史は古く、乳酸菌研究の祖とされるロシアの微生物学者メチニコフの時代から、殺菌体を用いた研究は行われていたという。

該当記事および過去のバックナンバーは、電子版ページからも閲覧いただけます。

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP