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薬事法、無罪判決の顛末

 ブック商法の無罪判決に一番驚いているのは、厚労省の監視指導麻薬対策課や都の薬事担当者であろう。罰金刑で収まり、メンツは維持されるというのが大方の見方であったからだ。これまでも薬事法の適用は、どちらかといえば行政や警察の強引な運用で、産業界には違和感があった。
 また東京都は講習会で、「階段の昇り降りは薬事法違反」という意味不明の説明をしてきたし、その前には、厚労省の4・13事務連絡で、徹底した言葉狩りが行われ、業界がエグゼ会議などを通じ正しい法の運用と、サプリメント法の制定を求めて立ち上がった経緯もある。
 今回の裁判では、キトサン健康食品のバイブル本(現代書林)が、広告に該当するか、間接正犯は成り立つかなどが争われた。既に、ケンコーコムなどが訴えた医薬品の通信販売禁止問題で、“薬事法の趣旨を逸脱した省令は違反”との判断が出ており、その影響も無視できない。司法当局は、長く続いてきた、通知・通達行政そのものの乱用に明快な判断を下した。


 そもそも、薬事法にはサプリメントを規制する意図は当時はない。サプリメントがなかったから。唯一、2条の定義で、「但し食品を除く」の表記があり、食品は対象外であるとの認識があった。しかし、健康食品規制のための46通知を出すにあたり、この一文を削除した経緯がある。その後、厚労省は2条の医薬品の定義で“身体の機能構造に影響を及ぼす機能表示は違反”としてきたが、食品に機能のある事は社会常識となり、二条の適用も使用不能となると今度は68条の医薬品の広告宣伝で取り締まりを進めてきた。この条項はそもそもは偽薬の規制で、これを適用するには、サプリメントが偽薬であるという前提が必要だ。健康食品とか、食品と表示してあれば、当局が力ずくで偽薬に出来るのか。そもそも、薬事法のこうした適用は合理性があるのかということが問われ始めた。
 ブック商法には、アガリクス裁判でも多いに問題があることが指摘され、今回も裁判官は、「問題のある無罪」だとさとした。健康食品の企業でも、様々な法の網をくぐり、消費者トラブルを引き起こす例は少なくなく、産業界は今回の結果を歓迎するだけでなく登録制度や救済基金などで、自主的に、産業界の健全化に取り組む必要がある。いずれにしても、今回のブック商法への無罪判決は、薬事法の乱用に明確な歯止めをかけた事は事実だ。

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