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「快眠」で機能性表示、市場拡大に弾み

“眠りビジネス”に商機

国民の4~5人に1人が睡眠に悩みを抱えているといわれるなか、さまざまな商材・サービスが登場している。寝具ではヒット製品が生まれているほか、睡眠計や、食事・運動・睡眠状態を記録できるライフログ商材も話題に。健食業界ではテアニン、グリシン、サフラン、クワンソウ、レモンバームなど機能性データを蓄積した特色ある快眠サポート素材の提案が活発だ。
市場では「質の良い眠り」「目覚めの爽快感」「リラックス」をうたうサプリメント、飲料、お茶などが流通。健常者の快眠ニーズも高く、新たな顧客獲得につながっている。また先月には、機能性表示食品制度を活用した快眠サポートサプリメントが登場。トクホにないカテゴリーということもあり、市場活性が期待される。さらに、業界の垣根をこえたコラボ企画も増えており、“眠りビジネス”から目が離せない。

①「すみやかに深睡眠をもたらし、ぐっすりとした眠りとさわやかな目覚めをサポート」、②「L-テアニンには夜間の健やかな眠りをサポートすることが報告されています」。これは機能性表示食品制度を活用したサプリメントのパッケージにおける表示内容。①の製品は味の素の『グリナ』(機能性関与成分:グリシン)。
既存品を新制度にリニューアルして先月21日から通販で販売を開始した。スティック1 本(3.1g)にグリシンを3,000mg配合する。『グリナ』は今年発売10周年を迎えており、2014年度の売上は前年比110%で推移する。リニューアル品を投入し更なるブランド確立を図る。
②は伊藤園の新製品『テアニンの働きで健やかな眠りをサポートするむぎ茶』(機能性関与成分:L-テアニン)。スティックタイプのむぎ茶飲料で1 本(1.4g)にL-テアニンを200mg配合する。同社では「事前調査で就寝前に飲む飲料はミネラルウォーターに次いで、カフェインを含まないむぎ茶を挙げる回答が多かった。むぎ茶は弊社の焙煎・粉砕技術を活用できる。香味ゆたかな味わいに仕上がった」と話す。先月24日から販売を開始、「通販、量販店向けと初動はいずれも良い」と手応えをみせる。新制度による「快眠」カテゴリーの製品はこの2 品が初となる。トクホにもないカテゴリーでもあり、市場活性の起爆として動向が注目される。
各業界も“眠りビジネス”に注目しており、寝具、パジャマ、アロマ、入浴剤、リラックスCD、睡眠計など、快眠サポート商材が多数流通する。寝具業界では、睡眠の質を高めた高機能マットレス「エアー(AIR)」「エアウィーヴ」シリーズなどが人気に。1 日の活動(食事・運動・睡眠)を記録・管理できるライフログ商材も若年層を中心に話題を呼んでいる。
また業界では、春と秋に年2 回の「睡眠の日」を制定。今月3 日(秋の睡眠の日)に合わせたイベントやコラボ企画が多数行われた。睡眠計を販売するオムロンは、「温活」×「睡眠」をテーマに、より良い眠りを提案するコンセプトルームを全国15ヵ所のIDC大塚家具ショールームにオープンさせた。ナイトウェアを手掛けるワコールはザ・プリンスさくらタワー東京とコラボ企画した心地よい眠りにこだわった宿泊プランを開始している。

“眠りビジネス”が注目される背景には、睡眠に悩みを抱える人達が各世代に広がっていることが挙げられる。平成25年国民・健康栄養調査によると、全体の約7 割が睡眠に対して何らかの悩みを抱えていることがわかった。男女ともに最も多かった回答は「日中、眠気を感じた」で男性37.7%、女性は43.0%だった。「睡眠全体の質に満足できなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」といった回答も20%以上を超えていた。

また近年、うつ病、認知症と睡眠の関係や、不眠症、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの睡眠障害が生活習慣病の危険因子となることがさまざまな研究により明らかとなるなか、国も睡眠の重要性を指摘。厚労省では昨年11年ぶりに「健康づくりのための睡眠指針」を改訂した。科学的根拠に基づき、ライフステージ・ライフスタイル別に分け、睡眠の問題を予防・改善するための情報などを盛り込んだ。先日、都内で開かれた「第2 回時間栄養科学研究会」で講演した筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の裏出良博教授によると、睡眠関連の経済支出は、睡眠不足による生産性の低下や睡眠薬などの医療費を含め年額6 兆円に迫るという。

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