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道バイオ産業566億円(3%増)、健食が牽引

農産物や海産物など豊富な自然資源を活用し、タマネギ、シソ、クマ笹、黒豆、植物発酵エキス、亜麻仁、アスパラガス、行者ニンニク、サケ由来の核酸やプロテオグリカン、フコイダンなど、数々の有力商材を全国に発信する。北海道経済産業局によると、健康食品を含むバイオ産業の2014年売上高は前年比3.0%増の566億円に達することが判明。このうち、「機能性食品・化粧品」の売上高は同7.3%増の220億円となり、道バイオ産業を牽引している。バイオ産業全体では2020年に1,500億円到達を目指す。
 北海道庁が認定する機能性表示制度「ヘルシーDo」は2年半で計29社56品目が認定され、中小・零細企業の収益力アップにつながる効果も。独自の販路開拓と安全性・品質・機能性重視の商品開発を着々と進め、実力を発揮する北海道の健康産業をレポートする。


 道経済産業局によると、北海道のバイオ産業の14年度売上高566億円(同3.0%増)のうち、「機能性食品・化粧品」の売上高は同7.3%増の220億円となり、全体の底上げに大きく貢献した。道内のバイオ企業
は143社に上り、そのうち「機能性食品・化粧品」は全体の45.6%(52社)と半数近くを占める。
 販路開拓では約4 割(41社)の企業が海外展開を進め、5 年前に比べ、台湾、香港、シンガポールに展開する企業が増加した。新たに海外展開を検討中の企業も2 割強(23社)に上る。健食企業ではアミノアップ化学、大高酵素、日生バイオ、北国生活社、北海道霊芝などが輸出事業を伸ばしている。道経産局では2020年度までに売上1,500億円の到達を目指しており、キーワードとして、「農業・食品産業の高付加価値化」、「健康増進・疾病予防」、「海外展開」の3 点を掲げる。
 「農業・食品産業の高付加価値化」の出口戦略の1 つとして、道庁では2013年4 月より機能性表示制度「ヘルシーDo」を導入。運用開始から2 年半で合計56品目(29社)が認定された。ヘルシーDo(34品目)の14年度売上高は26.6億円で、前年度に比べ約2.5倍に増加した。また道庁では認定した43品目のうち、認定後販売初年度の売上高とその前年同期の売上高の比較が可能な19品目について、認定前と認定後の売上高を比較したところ、認定前に比べて売上高が約29.5%増となったと試算。「個別商品で売上額が前年同期比で3、4 倍に増えたものもあり、認定による売上効果は一定程度ある」と分析する。
 一方、ヘルシーDoが抱える課題について、北海道バイオ工業会会長の小砂憲一氏は、消費者への認知度の低さとマーケティングの2 点を指摘。「全国にヘルシーDoを普及させるには、各自治体と連携した取り組みが不可欠」と話す。道庁では機能性表示食品制度が開始された4 月1 日、道外OEMの解禁と、機能性表示食品制度との併記方法・関連規定の追加などを柱とするヘルシーDoの制度要綱・要領を改定した。「道内に本社を有する企業」とする製造委託企業の要件制限を撤廃。道外OEM(道外企業から道内工場への委託製造)を解禁した。道庁では北海道食産業総合振興機構、北海道科学技術総合振興センター、北道道立総合研究機構の3 者の連携により、「食品試作・実証・プラットフォーム」の仕組みを構築。食品製造にかかわるOEMの橋渡しを行っている。
 4 月の知事選で4 選を果たした高橋はるみ北海道知事は、来道外国人観光客300万人、道産食品輸出額1,000億円を目指すことを表明した。現在の輸出額は約600億円で、水産物・水産加工品が9 割を占める中、北海道のブランドイメージを生かした農林畜産物由来の機能性素材や健康食品など付加価値の高い商品開発がカギを握る。

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