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【主張】消費者委「健康食品排除の建議」に異議あり

 WHOの健康の定義に関して、一億総活躍議員の菊池桃子氏が「健康な肉体に健康な精神が宿る」という表現をやめてほしいと発言、「社会の中から、排除される者をつくらない」という呼びかけは多くの人の共感を得た。一方、健康の意識に関する調査で「米国では大人の 9 割が健康と認識し、日本は健康と考えるのは 3 割」というデータもある。いずれのケースも健康の捉え方は、時代とともに、あるいは、地域、民族でも異なるもので、そもそも自由であり、物差しがない。


 ここに物差しを持ち込もうとしたのが機能性表示制度である。「機能をいうならばエビデンスの担保を」一見理にかなう話であるが、現行の機能性表示制度でエントリーできないビタミンやミネラル、機能性成分が特定できないものがある現状に消費者委はどう考えているのか。アガリクスや霊芝などのキノコ類、ローヤルゼリーやクロレラなども、制度拡充(健常者の論文が少ないという現実もある)を待っているが、後付けの制度が不備で現状に即さなければ、消費者委は社会のルールや法を守るべく、まず制度整備を建議すべきである。
 そもそも、安全性が確保できるなら、すべての健康食品が、そのような単一的な装いをする必要もないのだ。健康に対する理解は様々で極めて個人的なものでもある。消費者庁の川口次長も機能性表示食品の制度を「国産などのような一つの枠組みである」と冷静に説明している。
 消費者委の物言いは民族浄化のような発想で、昨今の物差しで、歴史的に利活用されてきた健康食品を「制度に従わなければ排除せよ」というのは、狂気の暴論である。逆説的だが、特保などの機能性表示制度を絶対化していく建議の論調は、医薬品などとの関係でも、消費者のミスリードを助長する以外の何ものでもない。
 安全委にせよ、消費者委にせよ、消費者の健康食品の知識不足を指摘する前に、各委員の知識不足が目に付き、建議の主張の安定性をこそ疑いたくなる。そもそも消費者委が行った 3 万人調査で、消費者の6割がサプリを利用している事実から各委員は何を学んだのか?東京都が行った調査で「 3 人に 2 人が利用、摂取者の7割が効果実感」(本紙)の声を各委員はどのように受けとめたのか。これら利用者の意見に耳を傾けたのであれば、こうした建議は日の目を見なかったであろうに。独善的で間違いだらけの議論にはうんざりするばかりだ。
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