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【特集】注目のキノコ 伝統素材、新機能で市場開拓 海外ではスーパーフード

「免疫賦活作用」を有するキノコ素材は、β-グルカンをはじめ、ビタミンD、食物繊維などの栄養素を豊富に含む。健康長寿を支えるサポート素材として広く利用されている。近年は「脳機能改善作用」「睡眠改善作用」「不妊改善作用」などに関するエビデンスデータの蓄積が実り、新たな市場開拓につながっている。国産・品質力を差別化に海外展開を図る事業者も目立つ。さらに、欧米市場では栄養価に優れたスーパーフードとして機能性キノコの注目度が上昇。サプリメントのみならず、飲料やバー製品など一般食品への利用も進んでいる。


食実績と栄養価の高い健食素材
ビタミンD、食物繊維に注目!

日本古来の文献には、キノコに関する記述が良く見受けられる。古くから日本人はその味の良さに加え、栄養価の高い食材として、キノコに親しんできた。日本の各地方でタケ、ナバ、コケ、ミミ、クサビラ、モタシなど沢山の方言が残っており、日本民族の食文化の一つとして根づいている。最近では一般食品としてなじみが深いシイタケやマイタケに抗インフルエンザや便通改善、抗糖尿などの機能が確認され注目された。

機能性キノコの主な販売ルートは、おもに医家ルート、漢方相談薬局、ドラッグストアなど。冬虫夏草、霊芝、ヤマブシタケ、ハナビラタケといった特色ある素材が揃う。これらの素材には、一律してβ- グルカン、ビタミンD、食物繊維が豊富に含まれる。β-グルカンは「免疫賦活作用」「コレステロール値上昇抑制」などのエビデンスが豊富。ビタミンDは「免疫賦活作用」「抗炎症作用」がある。脂溶性ビタミンでありカルシウムの吸収を助けることから、皮膚科分野でのアトピー性皮膚炎改善成分としても注目される。東京農業大学、林総合科学科の江口文陽教授は「機能性キノコ製品はビタミンDや食物繊維への訴求が薄くなる傾向にあるが、消費者の体感は大きい」と語る(42面参照)。近年は、その他にも様々な機能に関するエビデンス構築が進み、各社、新たな市場開拓の可能性を見出している。

「脳機能」「睡眠」「不妊」
新たな訴求で市場拡大へ

主要サプライヤーの各素材での動きに目を向けてみる。冬虫夏草は「睡眠改善」「不妊改善」「美容」「抗疲労」など実に幅広い分野での研究が進む。ミックマックは上記の作用に加えて「肝臓保護作用」「抗酸化作用」など15の生理作用を確認した植物性バイオ北虫草の原料、最終製品の販売を進めている。国産虫草エキス・パウダーを扱うモノリスは、健康食品原料GMP認証(JIHFS)を取得。「中国保健食品」認証取得も目前に迫り、中国市場でのさらなる需要拡大が期待される。

ヤマブシタケは「脳機能改善」のブレインフーズとして根強い人気を誇る。久保産業の『さんごヤマブシタケ』は「記憶力向上」「認知症対策」と訴求させ堅調。サンメディカは、久留米大学との共同研究によりヤマブシタケ抽出物の「睡眠改善」や「抗うつ作用」と訴求させた素材『アミロバン』が好調。インタートレードはヤマブシタケ抽出物の「脂質代謝改善」「不妊改善」の研究成果を発表し、新たな切り口の開拓を進める。

霊芝は国内の栽培・加工技術や品質管理の評価が高まっており、日本産霊芝の需要が海外で高まっている。華僑を通じて海外市場で展開する日産化学工業は、霊芝を主成分とした製品で中国保健食品を取得。上海を拠点に中国本土への販売も本格化させている。日本霊芝協議会は東京農大と「放射能セシウムの霊芝子実体への移行解析」を共同研究し、海外進出に欠かせない安心・安全性の確保を行った。

長年、健康長寿を支えるサポート素材として広く利用されている実績に加えて「脳機能改善」「睡眠改善」「不妊改善」など新たなエビデンス構築が進み、さらなる可能性を見出したキノコ市場。国内にとどまらず海外も視野に入れた、市場拡大が見込まれている。

海外市場「免疫」訴求に需要

栄養価の高いスーパーフードとして海外市場での機能性キノコの注目度は着々と上がっている。霊芝、冬虫夏草、ヤマブシタケなど中国や台湾で伝統的な健食素材として地位を確立していた機能性キノコが、最近では米国、ヨーロッパでも受け入れられ始めている。

今年 3 月、米国アナハイムで開催されたナチュラルプロダクツエキスポでは、制度上「免疫サポート」と謳うことができることから霊芝、ヤマブシタケ、メシマコブ、チャーガを素材として扱った製品が多く出展されていた。ヤマブシタケは「Lion`s Mane(ライオンのたてがみ)」として親しまれ、スーパーマーケットには「睡眠改善」「抗疲労」などと訴求した霊芝サプリメントが並んでいる。加えてその栄養価の高さに着目しスーパーフードとしてキノコを売り出す企業も現れている。北欧発祥のFourSigmatic社は、2012年設立以来、現在までに欧米を中心に25ヵ国、約600店舗でキノコ製品を展開。ヤマブシタケ入りのマッシュルームコーヒーが人気で、着々と米国での需要を拡大している。同社は教育機関を設置し、消費者知識の向上も進めている。米食品大手ゼネラルミルズ社は 4 月、キノコ関連企業のスタートアップに3 億円以上を投資し、事業拡大を支援。今年 8 月にはバータイプ製品の発売を予定しているという。

近年、納豆や抹茶など海外で話題になった日本発の健食素材がスーパーフードとして注目され、逆輸入されるケースが増えている。キノコ市場に「スーパーフード」という新たな切り口が生まれたことで、その多様な機能性にさらに期待が高まる。

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