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【連載/話題追跡】食品衛生法改正でHACCP制度化へ、日健栄協が健食事業者向け手引書案作成

食品衛生法の改正で進むHACCPの制度化に向け、各業界団体が手引書を作成している。厚生労働省は、健康産業界への速やかな導入に向け、日本健康・栄養食品協会に手引書の作成を依頼。同協会では現在、HACCPと重複箇所のある健康食品GMP取得済みの企業や、新規にHACCPに臨む小規模事業者などを考慮した手引書を作成。当初3月末を予定していた事業者への公開だが、手引書案に対する厚労省からの指摘待ちの状態にあり、ずれ込んでいる。

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15年ぶりとなる食品衛生法等の一部を改正する法律案では、2020年の東京五輪を念頭に、HACCP制度化のほか、広域的な食中毒対策、健康被害情報の収集、営業届出制度の創設などが挙げられている。

施行は一部を除き、公布から2年以内。HACCP制度化に関しては、準備に一定期間を要する事業者を考慮し、1年の経過措置期間を設定する見通しだ。HACCP(Hazard Analysis and CriticalControl Point:危害要因分析重要管理点)は、主に、食品製造現場で有害微生物や有害化学物質、異物などに起因する有害影響を排除し、一般食品としての安全性を確保することを目的とする国際的に認められた衛生管理手法で、食品衛生の国際基準のひとつとなっている。制度化されると、各事業者は、「衛生管理計画書」の作成が義務付けられ、その際、「HACCPの7原則を要件とする基準A」、または「コーデックスHACCPの弾力的運用を可能とするHACCPの考え方に基づく衛生管理を要件とする基準B」で行うこととされる。

厚生労働省では、健康食品の特性を踏まえた円滑なHACCP導入を図るため、手引書作成を日健栄協へ依頼。日健栄協では、HACCPと文書体系や用語等が異なるものの、危害要因分析表や、重要管理点プランといった基本的な点がカバーされている健食GMPおよび原材料GMP取得企業や、新規にHACCPに臨む小規模事業者らの実情を考慮した手引書を作成。現状は、厚労省へ提出した手引書案の指摘待ちの状態( 4 月10日現在)で、「案に対する指摘を受け、さらに回答し、その後に検討会の日程が知らされるので、しばらく時間がかかる」(日健栄協)という。

当初3月末を予定していた手引書の公開がずれ込み、受託メーカーや原料サプライヤーからは不安の声も。日健栄協では、大筋として、手引書を基に、保健所など各地方自治体の食品衛生監視員が事業者指導を実施する点を踏まえ、「健康食品GMPの知識がない食品衛生監視員が査察する際でも、カプセルや錠剤などの危害要因分析表等について分かるよう、かつ健食GMP取得企業の書類作成の負担を減らす方向で作成している」としている。具体的には、健康食品における錠剤、顆粒・粉末、ハードカプセル、ソフトカプセル、液体のサプリ5 剤形でHACCP文書作成のモデルプランを出し、健食GMPの「製品剤形表」から作成可能なHACCPの「重要管理票プラン」など、なるべく書面上の手間を省けるような手引書となっているようだ。厚労省は食品衛生法改正に関する意見募集への回答の中で、HACCPについて「工程管理のシステム(ソフト)であり、必ずしも施設(ハード)の整備を求めるものではない」と指摘。

なお、小規模で手作業の多いサプリ形状限定の事業者を対象とする基準Bについては、基準A手引書作成後に着手する。

本記事は「健康産業新聞 1642号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら

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