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【7月号連載】機能性食品開発のための知財戦略(7)
食品用途発明の最新報告〈2018年4月登録/公開〉

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

機能性食品開発のための知財戦略(7)
食品用途発明の最新報告〈2018年4月登録/公開〉
特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名 真徳

はじめに
本連載では、毎月、①新たに登録される食品用途の成立特許と、②新たに公開される食品用途の公開公報(出願から1年6月で公開される)とを、著者が調査・分析して報告を行う。また、汎用性が高く、参考となる請求項や特許明細書の記載形式、権利化手法、知財戦略などがあれば簡潔に紹介を行う。

1.調査の方法
特許庁データベースを用いて、特許請求の範囲に、「…のための食品…、…用食品組成物、…改善剤」などの食品用途発明で頻用される文言を含み、人体に対する機能性に関する用途が規定された特許を抽出する。厳密には特定保健用食品、機能性表示食品にてヘルスクレームとすることができない機能性(用途)や、認可され得ない成分についても参考となる限り、除外せず掲載している。

原稿執筆時の関係上、本号では、2018年4月1日~4月末日までに特許公報の発行又は公開された特許案件についての紹介を行う。

2.新たな成立特許の紹介
特許第6306634号 公立大学法人福井県立大学 <高血糖改善等>

請求項1において、「オレアノン酸、ベツロン酸、ウルソン酸、およびそれらの配糖体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する筋肉の糖取り込み促進剤を含有する、食品用組成物」が規定されており、従属請求項3では、「高血糖改善食品用」との限定がなされている。

上記の化合物は、ナツメ(果実)等から抽出されるか、合成により得られる。飲食品形態においては、「筋肉細胞の糖取り込み促進作用による効率的なエネルギー供給効果を奏し、また、それに伴う筋肉組織の活性化・増強・増大や肉体疲労軽減、運動能力の向上などの効果を奏することから、優れたエネルギー補助食品を提供する」ことが説明されている(明細書の段落0043)。

特許第6307329号 花王株式会社 <睡眠改善>

請求項1において、クロロゲン酸類による「睡眠改善」用途が規定されている。

審査において、「睡眠改善」用途が、「中途覚醒時間の短縮、睡眠効率の改善及び起床時の熟眠感の改善から選ばれる1以上の現象」である点を限定する補正がされ、クロロゲン酸類が、「3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸、5-フェルロイルキナ酸、3、4-ジカフェオイルキナ酸、3、5-ジカフェオイルキナ酸及び4、5-ジカフェオイルキナ酸」の9種の化合物である点を限定する補正がされている。

実施例においては、生コーヒー豆抽出物中のクロロゲン酸類を配合した飲料と対照飲料を用いて、二重盲検のクロスオーバーデザインにより、睡眠状態の変化を比較検証する試験を行っている。

中途覚醒時間及び睡眠効率は、体動計を用いた体動量の変化から算出し、熟眠感は、視覚的アナログスケール(VAS)を用いた主観的手法により評価している。

―以下、続きは月刊『食品と開発』7月号にてご覧ください。
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