未分類

HIE 2010(スペイン・マドリッド)視察レポート

 今年で第6回の開催となる欧州の健康素材見本市HIEが11月16~18日、マドリッドの国際見本市会場IFEMA-FERIAで開催された。
s-DSCN2185.jpg
 HIEは2000年に第1回がフランクフルトで開催され、02年パリ、04年アムステルダム、06年フランクフルト、08年パリと続き、今回は食品素材の国際展示会としては初のスペインでの開催となった。
 HIEと交互に隔年で開催されるFIEはパリ、ロンドン、フランクフルトの3都市を巡回しているので、それに習えば本来ロンドン開催ということになるが、今回あえてマドリッドでの開催となったのは「これからの機能性食品市場の伸長のポテンシャルがスペインにはあるから」と主催者側はコメントしていた。
 今回の出展社数は約500社で、前回の430社を上回り、とくにHiに初出展の企業が110社もあったことが、「市場への期待感の表れ」(主催者コメント)のようだ。出展社の国別では前回の41ヶ国とほぼ同じであった。国別出展社数では06年の前々回から中国企業がトップとなっており、今回も中国は数ヶ所にパビリオンを設け、パビリオン出展と単独の出展をあわせると95社と全体の2割を占める勢い。その他、国別パビリオンとしてはUS、カナダ、フランス、スイスがパビリオン出展をしていた。毎回、開催国の出展は多いのが当然だが、今回は欧州の国別出展社の中ではフランス、ドイツに次いでスペインの初出展企業が目立った。


 日本企業では、太陽化学、築野食品工業、松谷化学工業、マリーンバイオ、日本生物.科学研究所、日本バイオコン&オリザ油化、森下仁丹、金印わさび、カネカ、ヤヱガキ醗酵技研と、現地の代理店を通じて森永乳業、味の素などが出展をしていた。
 出展製品の成分別カテゴリーでは、ビタミン&ミネラル、ファイバー、植物エキス、ω3、プロテイン&アミノ酸、乳酸菌、オリゴ糖など日本とほぼ変わらないが、出展数の多さではω3系の素材の多さが目についたことと、06年くらいから増えてきたプロバイオ&プレバイオ訴求の素材が目立った。ω3は日本では市場が停滞気味だが、欧米では最も成長している成分カテゴリーで、魚由来品、オキアミ由来品、発酵法品、植物由来品と様々な起源の素材が出品されていた。
 出展製品の機能別カテゴリーでは、ウェイトマネジメント・ダイエットに関する訴求と抗酸化を訴求した素材が最も多く、その他ではエナジー、ボーンヘルス、免疫、メンタルヘルス、消化器系の健康、ブレインヘルス、子供の健康などが目立った。
 なかでも日本では今ひとつ成功していない抗疲労機能が、こちらではスポーツニュートリションと疲労回復という概念が一緒になり“エナジー”という一大機能性ジャンルを築いており、エナジー訴求の素材の多さも目立った。
 かわりに日本では非常に多い美容訴求の食品素材はまだ少ない。日本では同じ天然起源の素材を内面美容、外面美容と両方に使うことが最近増えているが、まだ欧州では食べ物で美肌をつくるという商品はあまり見られない。ただし、ビューティという概念は健康訴求商品の中には出てくるようになっており、美容が食品の機能性カテゴリーの一つとして数えられる日も遠くないと思われる。
 製品別アプリケーションの提案では、飲料向けの提案が最も多く、その他栄養バーや焼き菓子風のものもあったが、カプセルや錠剤に偏っていないところは日本と共通するものがある。
s-DSCN2189.jpg
 HIEでは毎回革新的な技術により作られた素材に賞が贈られる。受賞素材の発表は初日の17時30分からの式典で行われることになっており、今回初日に会場を視察したわれわれツアーのメンバーが会場にいる間には受賞製品の情報は入らなかったが、後で聞くところによると、今年のエクセレントイノベーション(大賞)にはDSMニュートリションの「Fruitflow」が選ばれた。大賞をとったFruitflowは、トマトから分離精製したエキストラクトで、非常に味が良く、血液の循環を良くして心臓病の予防につながるという素材。
 その他、Heart Health、Digestive Health、Nutrition for the young and old、Sports performance、Weight managementの5つのカテゴリー別の賞が贈られた。
 Heart Health部門はイノベーション賞とダブル受賞で「Fruitflow」が、Digestive Health部門はダニスコ社のGRINDSTED Fiberline(パンの味を変えないでファイバー強化)が、Nutrition for the young and old部門はイノフォス社のVersaCal Clear(水にクリアに溶けるミネラル素材)、Sports performance部門はクリスチャンハンセン社のL. fermentum PCC(スポーツニュートリションとしてのプロバイオティック)、Weight management部門は該当なし。
 その他ノミネートされていたのは、イノフォス社のCAL-RISE(味を落とさず減塩できる)、リピッドニュートリション社のClarinol CLA(ウェイトマネジメント向け共役リノール酸)、コロイドナチュレル社のFibregum(食物繊維が高含有で水にクリアに溶けるアカシアガム)、バイオセラ社のID-alG(ウェイトマネジメント素材としての海藻抽出物)、カーベリー社のOptipep SN(スポーツニュートリションとしてのホエイペプチド)、ピュアサークル社のステビア(ダイエット素材としての100%ナチュラルなステビア葉からとったスイートナー)、カンピナ ドモ社のVivinal GOS(プレバイオティック素材としてのガラクトオリゴ糖)。

関連記事

  1. 編集部から
  2. 【市場動向】FD食品の市場と製造受託企業の動向
  3. 地域農産物活用のための高機能食品開発プロジェクト研究を追う
  4. 【6月号連載】機能性食品開発のための知財戦略(6)
    食品…
  5. ●食品開発展2003、先進主要国のニュートラシュティカルの潮流
  6. 【5月号】食品工場の衛生管理・事故防止のためのハード&ソフト
  7. 食品産業における温度管理技術の最新動向
  8. 【6月号】食品粉粒体技術の最新動向

お問い合わせ

毎月1日発行
  年間購読料 33,000円(税込)
      1冊 3,300円(税込)

食品開発展2024 出展者募集中

PAGE TOP